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特集


ひらめきの月曜日
 
食べ物で夏気分!

ん? これはもしや?
まさか異色のコラボレーション

冷やし中華はじめっぱなしの店

「冷やし中華はじめました」この張り出しが近所のラーメン屋に出ると、お、夏だなと思う。

温度よりも、半袖よりも、何よりも人に夏を伝えるもの。冷やし中華(の張り出し)。そんな夏の風を1年中吹かせている店がある。神保町の揚子江菜館だ。老舗の上海料理屋だが、冷やし中華の元祖としても有名だそう。

店の前には「謹賀新年」のポスターが。正月=冬である。が、その下、写真をごらんいただきましょう。堂々と「元祖 冷やし中華」の文字。高く美しく盛られた冷やし中華の看板が出ている。冷やし中華が始まっているのだ! 

「冷やし中華下さい」
「五目ですか? ふちゅうのですか?」
「ええと、じゃあ、普通の」

中国の方らしい喋り方のウェイトレスさんは冷やし中華をオーダーしても1ミリも躊躇しなかった。聞けば、冬でも冷やし中華は人気メニューだそうだ。

具はキュウリ、チャーシュー、寒天、竹の子を甘く煮たもの、錦糸卵。「富士山の四季を表現」しているとのこと。いやー、冷やし中華が始まったとなると、いよいよ夏も本番だねえ。心で唱えながら、いただきます。


夏、はじまりました

必死に夏らしい自分を撮ろうとする
年末のタモリ、よかったよねー
この店も暖かいメニューが気になる

あ、美味しい。タレの甘酢はかなり甘いのでカラシとお酢を追加してカスタム。こうやって味の調節をするような小さな作業でグッとリアルに夏を思い出す。

勢いよくずるずる麺をすするまわりでは、新年会らしい団体客やカップルの席をウェイトレスさんがお茶を配ってまわっていた。

「はーい、どーじょー、お茶、どーじょー」
「元気いいですねえ」
「ほら、寒い季節だから、元気ださないとね」

あ、こら! せっかく夏気分を味わってるんだから“寒い季節”なんて言わないでください!

「年末の「徹子の部屋」観た?」
「あ、恒例のタモリのやつ?」
「面白かったですよねえ」

あ、こら! せっかく夏気分を味わってるんだから、年末の話なんかしないでください!

「電気ストーブより、石油ストーブの方が暖かいよねえ」
「いや、うちはコタツだけでいいや」
「え、でもそれだけだとコタツから出られなくならない? 寒すぎて」

あ、こら! せっかく夏気分を味わってるんだから、暖房器具の話なんかしないでください!

……。ダメだ…。自分が夏の気分になっても、周りの方々の話が耳に入ってきてどうしても時候を感じてしまう。やっぱり、冬に食べ物だけで夏を感じるのは無理なのか。

いや、周りを巻き込んでみんなで一緒に食べればいいんじゃないか。そう、スイカ! スイカをまるまる一玉買って、みんなで食べよう。みんなで一緒に夏になろう。

 

揚子江菜館
  千代田区神田神保町1−11−3
  TEL.03-3291-0218



 

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