静岡県掛川市に、「掛川花鳥園」という施設があるのをご存知だろうか。
私は最近までその存在をまったく知らなかったのだが、そこはトリ好きにとって、トリへの餌やりができるわ、なつかれるわで、まさに「トリまみれ」になれるという「約束の地」であったのだ。
トリだらけのページになる。
(乙幡 啓子)
こんな郊外に、あんな興奮の地があるとは
花鳥園の存在を知ったのは、今年用の年賀状のデザインを探しているときだった。
私は鳥なら「オオハシ」が好きだ。あの、くちばしだけで自分の体くらいある、見た目バカげな鳥(失礼)だ。 その写真を探すうち行き当たったのがこの花鳥園のホームページだったのだが、非常に興奮した。あの熱帯産のオオハシに、動物園では金網越しのはるか向こうにしか見ることのできないオオハシに、直接餌をやれるのだ。
掛川か。なるほど。と思い立ったはいいが結構遠いのだった。東京から、高速路線バスなら往復7千円台だが8時間以上かかる。だからといって新幹線では、往復1万5千円だ。んんんでもせっかくトリ年だ、今年なら思い切って行く口実になる。
2月に入ってまで「今年はトリ年ですね!」などと言ってる人はあまりいないものだが、それにかこつけるだけではない。自分の夢を、欲望を果たしに行くのだ。
そして、園内へ一歩入ったとき、本当に来て良かったと思った。
「--------!」と、声にならない声、超音波が出ましたよ。カカカカカカモ。あたあたと足がもつれそうになりながらも、餌売り場へ。
普通に話ができない。今回、掛川まで同行してくれた知人のSさんと話すにも頭が空っぽになりがちだ。「キーーーーーーー!かわいいぜこんちくしょう」というようなことをずっと言ってるわけだが、それでは記事にならない。
それは、それはよおくわかっている、でももう駄目です。私は今日は、駄目なライターだ。何故って、これらの写真をごらんなさいよ。
ふだん、池でカモをこんなに近くで見る機会はないので、ありふれたトリではあるがこれだけでも大興奮だ。
ここのトリらは人間に非常に馴れているが、歩み寄っていくとじりじり逃げる。口ばしの構造から、どうしても「ほほえんで」いるように見えてしまうトリだが、哺乳類ほどは、親しみの情を示してはくれないところが、やはり「トリ」なのだった。