結論から言うと
手書きのパネルは健在だった。トナカイの足音やツルの足の構造。目の前にいる動物の見どころが書いてある。
書店やCDショップのPOPのようだ。書いた人の思い入れが伝わってくる。そんなあたりから旭山動物園の山崎さんに聞いてみた。
「もともとお金がない動物園なので。飾らない自分たちの言葉で書いているんですよ。」
死んだことも伝える
−−−喪中って書いてあるのもありましたが
「いま動物園に800種いるんですが、そのなかには寿命の短いのもいるのでやはり死んでしまう。最近ドブラというロバの仲間が死んだんですが、35年も生きていたので旭山動物園としては宝ですよ。 『ありがとう』という言葉も伝えたいんです。」
「ドブラ」は、ドンキーとゼブラを掛け合わせた動物だそうだ。見たかった…。
旭山動物園では、飼育員がお客さんの前でしゃべって説明する「ワンポイントガイド」も行っている。
「ペンギンがいるだけだと素通りしちゃうけど、『茶色いのはボスじゃなくてヒナなんです』と説明すればふーんて思うじゃないですか。」
たしかにペンギンのヒナはでかい。そんな試みをはじめたのは1986年ごろだそうだ。
「説明しているとお客さんにいろいろ聞かれるので、それを書いてパネルにはった。そうすると、今度は泳ぐところを見せたい、とか、理想の動物園ってなんだろうって集まって考え出したんです。」
入場者数の少ない「日の当たらない時代(山崎さん談)」に構想を固めていたことがいまに結びついている、と山崎さんは語った。
旭山動物園はユニークな展示方法は、あのパネルの延長線上にあったのだ。
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と、気づいたら動物園の取材なのに動物の写真がほとんどないという地味なページになっていた。次のページからは行動展示を見ながらそのひみつを探りますよ。 |