ツユの黒さから、ものすごく濃い味のおでんを想像していたのだが、食べてみると案外そうでもない。いくらでも食べられそうな味だ。
ふりかけのように上からかけるダシ粉も、不思議と合う。うん、ウマい。
お店は、高齢のご婦人お二人で切り盛りされていた。飲み物など注文しなくても、お茶をどんどん注ぎ足してくれる。このお茶がまた、おいしい。
「お店はいつ頃から始めたんですか?」と聞いてみると「私の母親がお嫁に来てから始めたのよ」とのこと。
…それはやっぱり戦前の話なんだろうか、などと考えながらも、さらにお話を伺う。
「昔は1銭とか…、銭なんて分かんないでしょう? 子どもがお小遣い持って食べに来てねぇ。あの頃の子どものお小遣いはいくらだったか…。区画整理で今の土地に移って来て、そのまんま…」
お店の方の話を聞きながら、お茶を飲み飲み、おでんを食べる。なんかいいなぁ。 |