外に出ました
手がハサミでも歩いて仕事に向かおう。人の目は特に気にならないが、銃刀法違反とかで引っ張られないか、それだけが心配だった。
いつも歩いている道には雑草が茂っている。気にはしていたのだけど、わざわざ自分が掃除するのも面倒くさいと思っていたのだ。だけど今日は手がハサミだ。気づいたときにすぐ剪定できる。
ざっくざっくざっく。手がハサミだから雑草もどんどん切れる。ようやくこの体になったことのメリットを感じることができた。人の役にたつって気持ちがいい。写真では瞳孔が開いているように見えるが、おそらく喜びをかみしめているのだ。
しかしその他の日常生活では「手がハサミになってよかった」と思えるような状況は特になかった。パソコンを使おうにもハサミでは左右合わせて最大4つまでしかキーが押せない。
お店でおつりを渡そうにもハサミだと苦労する。物理的に苦労する、というよりもお客さんを前にしてハサミでお釣りを運ぶというのは「あなたの手に触れたくないので」みたいに見えて感じが悪い。
やかんなど熱い物や、逆に氷など冷たい物を触るときにはハサミは便利だと思った。ただ、触るだけで何もできないので問題は解決しない。
不便な世界です
ということで手がハサミになった場合、予想通り不便なことの方が多かったです。この世界は特殊な人には住みにくいのかもしれない。
もしかしたら他に選択肢がなく「このままずっとハサミで暮らせ」と言われたのならばもっと工夫して便利に暮らすことを考えるかもしれません。だけどハサミの手では愛する人も傷つけてしまいそうです。全体にアルコールが入ったような内容でしたが、終始しらふで書いております。続編も検討中ですのでよろしくお願いします。