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ロマンの木曜日
 
東京無料バスツアー

大井町で無料バス

この日最後に乗車するのは大井町駅と大井競馬場を結ぶ無料シャトルバスだ。
このバスはもちろん、競馬場を利用する人のために運行されているバスで、途中に停留所はない。
大井町駅を降りて案内に従って進むと、すでにバスが停車していた。
バス停の脇でおばさんが競馬新聞を売っている。
これまで見てきた無料バス乗り場にはなかった景色だ。


競馬新聞を売るおばさんと無料バス

 

大人の世界の競馬場行き無料バス

すでにバス停に止まっていたバスの車内は満席だった。
乗っている人たちを見ると、今までの無料バスとは全く違った雰囲気だ。
なんというか、大人の世界といった感じである。
確かに若い人や女性、お父さんに連れられた子供の姿も見られるが、全体を支配しているのは大人の男性、つまりオヤジである。


東急バスと京急バスが運行している

ちょい悪オヤジたちに続きバスに乗る

 

しっくりくる無料バスだ

満席のバスに乗ろうかどうしようか迷っていたところ、すぐに次のバスがやって来て、待機している。
急いでいる人以外はみんな次のバスに乗るようなので、ボクもそれに従う。
車内のオヤジっぽさは、今日乗ったどのバスよりも自分にとってしっくりとくる。疎外感がないのだ。
期せずして、自分のオヤジ化を再認識してしまった。

余談だが、今日これまでに乗ったバスの車内で、ボクはずっとバスの様子などをメモしていたのだが、それが車内ではずいぶん目立っていた。明らかにけげんそうな目つきで他の乗客から見られていたりしたのだが、この競馬場行き無料バスの車内では、メモをとっていてもまったく目立たない。
なぜなら、他の乗客もペンを片手に熱心に何かメモをしているのだ。 競馬新聞に、だけれど。


大井競馬場についた
無料バスの宝庫だ

 

競馬場に到着

バスが出発して10分弱で、大井競馬場に到着した。
本日の旅のゴール地点である。
この無料バスが大井競馬場利用者のためのバスということなので、100円の入場料を支払って、競馬場内に入ってみることにした。
ボクは競馬をやらないので、競馬場にはほとんど足を運ばない。
過去に友人に連れられてきたことはあったが、ひとりで入場するのは初めてである。


中に入ってみよう

 

お祭りみたいだ

若干の緊張感を抱きつつ競馬場の中に足を踏み入れてみて、おどろいた。
場内はまるでお祭りみたいなのだ。
やきとりやおでんやもつ煮ののぼりが立ち並び、あちこちでおいしそうな湯気があがっている。
とてもいいにおいだ。
しかも、まるでボクを誘うかのように、ビールや日本酒、焼酎なんかも売られている。
当初の緊張感は吹き飛び、おもわず顔がにやけてくる。
ここはパラダイスか?


おお、興奮してしまう

競馬場内にはモスバーガーも
しかも特別メニュー

 

夢のようだよ競馬場

競馬場はすごく楽しい。
まず真っ先にビールを買い、 牛串焼きをつまみにノドを潤した。
何よりもうれしいのは、こういうふうにひとりで屋外でビールを飲んでいても、まったく違和感がないということだ。
ボクは野外でビールを飲むのが大好きなので、近所の公園のベンチなどでビールを飲むのだが、そうしていると、周りの視線が気になることが少なからずある。
近くで遊んでいる子供にお母さんが「あっちで遊びなさい」なんて言うのを聞いたりすると、とても申し訳ない気持ちになってしまうのだが、ここは違う。
ひとりで、堂々と野外ビールが楽しめる。
ここはボクにとって天国だ。

それに、ボクは喫煙者なのだが、競馬場の中にはもうそこいら中に灰皿が設置されていて、みんなモクモクとタバコをふかしている。
いまだにこんな場所があるとは知らなかった。
タバコを吸わない人には申し訳ないが(ちゃんと禁煙の場所も設けられてはいる) 、喫煙者にとってこんなに居心地のいい場所は、もう日本にはそうはないと思う。


牛肉部、うまそう
ああうまい

 

ついでに馬券を買ってみる

ビールを飲んでほろ酔い気分になり、もう1杯飲もうかなと財布をとり出したところ、中身があまり入っていない。
今日の企画は「無料バス」ということで、あまりお金を使わないだろうと、銀行で降ろしてくるのを忘れていた。
せっかく気持ちよくビールを飲んでいるのだ、残りのお金のことなど考えずに飲みたい。
ここは競馬で、一獲千金を狙い、浴びるほどビールを飲んでやる。
そう思い、馬券を買ってみることにした。

しかし、ボクは馬券の買い方をよくしらないので、隣で競馬新聞を広げてビールを飲んでいるおじさんに教えてもらいながら、200円分の馬券を購入した。

購入したのは、おじさんおすすめの馬と、ボクがその名前にホレた「ミユキグラマー」という馬だ。
さて、夢のビール飲み放題となるのだろうか。


大枚200円を夢に賭けた

薄暮の中走る馬はきれいだったが…

 

だめでした

実は以前友人に連れられて競馬場に行った時も、せっかくだから買ってみようと数百円分馬券を購入したのだが、それがどういうわけか万馬券になってしまったことがあり、ずいぶん気を良くしたのだか、今回はダメだった。
投票した馬が、2着3着だったので惜しいといえば惜しいのだが、優勝した馬がダントツのトップだったので、レースをぜんぜん楽しめないまま、ボクの200円は夢と消えた。


おしい!

東京シティ競馬:交通のご案内

タダより安い物はない

競馬場の楽しさのあまり、無料バスのことはすっかり忘れかけていたが、こんな楽しいところに連れてきてくれたのも、無料バスである。
ありがとう、無料バス。
「タダより高い物はない」というのは、今日乗った無料バスに関して言えば、間違いである。
しかし、これでついつい競馬にのめり込んでしまったとしたら、まさに「タダより高い物はない」ということになってしまう。
でも、大丈夫だ。
たとえ競馬ですっからかんになってしまったとしても、帰りのバスも無料なのだから。

なかなかやるぞ、無料バス

 

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