「ざわざわ」ということ
ちなみに私の考える「ざわざわ」の条件はこんな感じだ。
・わりと広い場所で ・大勢の人がいて ・好き勝手話していい状況
ターミナル駅など人々が忙しく歩いている場所よりも、人がその場にとどまっている方がより「ざわざわ」のイメージに近い気がする。どうでしょうか。
少人数でも、例えば衝撃的な出来事があって噂話をするようにあたりが「ざわつく」場合も「ざわざわ」は使われるが、今回はこれはあえてはずしたい。
では、私のおすすめするこの「ざわざわ」スポットの音をまず聞いてください。
聞き取って言葉に置き換えられるか
ああ、ざわざわしている!
心底そう思ってしまった。なにしろ見事に「ざわざわ」しているのだ。が、今回は擬音語のリアル化を試みているのだ。なんとか聞き取っていかねば。
………。
マイクの近くで何かを話している中年の男性らしき声と、後半で「ワワー! チー!(ママー! おいちい!、かな)」と、何らかのおたけびを上げる子ども、食器が当たるような「チーン」という音が聞き取れる。
こうやって少しずつ聞き取って書き込んでいけば見えてくるかもしれない。
……。しかし、ここから先がまるで細かく聞き取れない。
音楽関係だったり耳を商売道具にしている方だったら聞き取れるのだろうか。
もっと何度も聞いてみよう。何度も聞けばリアルに音を書き出せるはずだ……。うーん、うーん、うーん。
……まけた。
聞けば聞くほど、「ざわざわ」としか聞こえない。言葉の威力を前に、ただただ圧倒されながらフードコートで残りのそばを食べました。ざわざわ。
言葉たちに敬意を表して
「ざわざわ」のような擬態語は、これまでの長い日本語の歴史の中で「ざわざわ」としか表現しようがなかったから「ざわざわ」として長く使われてきたのだろう。若輩者が手を出してやけどをした形だ。
擬音語だって、今回ちゃんとリアルに書き取ってみたのに、リアルなほうがなんだか変だ。そばをすする音が「ざーっざーっ」ってなんだろう。やっぱり「ずるずる」だろう。
これからも、がらがら うがいをし、ばりばり おせんべいを食べて、ずるずる鼻をすすりながら生きていくんだろうと思う。でも時々、本当の音のことも思い出してにやにやしたいと思います。ろろろぽこぽこ。
文字は漫画みたいに手書きで入れようとしたけれど、難しくて断念しましたとさ