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ひらめきの月曜日
 
エスカルゴの殻の有効活用術


このような状態で売られておりました

行きつけのスーパーのポイントが溜まり、1500円分の商品券をもらった。こういうお得なサービスはとても嬉しいものだ。「これからも通わせてもらいます」と、そのスーパーに忠誠を誓いたくなる。

さて、こういう降って湧いたような臨時ボーナスは、どう使うのが効果的なのだろう。米や醤油といった日用品を買うべきか、それとも普段手が出ないような高級品を買うべきか…。

そんなことを考えながらカゴを手に店内をブラブラしていたら、ある物が目に飛び込んできた。エスカルゴだ。値札を見ると「セール価格1980円」と書いてある。

いつもなら絶対に買わないような超高級食材だが、今日の私には1500円分の商品券がある。思い切って買ってみました。

高瀬 克子



カタツムリなんですよね

もう随分前の話だが、フランス料理屋でエスカルゴを食べたことがある。なるほど美味しかった。それと同時に「なんとなく貝っぽいな」とも思った。

貝を連想したのは、殻の形状が似ていることに加え「いくら食用とはいえコイツらカタツムリなんだぜ」という事実から、なるべく目を逸らしたいせいもあったかもしれない。

そう、貝だ。今回も貝の一種として考えてみよう。


と、思った矢先にこのラベル。カタツムリ大行進

うーむ…。これはアレだ。子どもの頃、雨の降る日に紫陽花の葉の陰で見つけたカタツムリだ。貝なんかじゃない。どう見てもカタツムリそのものだ。

でもほら、なんたってフランス料理だからさ、高級食材だし食べれば美味しいんだからさ…と、自らに暗示をかけるようにして缶を開けたところ、さらに己れを鼓舞させるような文句が次から次へと心に浮かんできた。


…サザエっぽいじゃないか、1980円もしたんじゃないか。大丈夫、大丈夫だよ。

一体、なんのためにわざわざ高いお金を払ったんだかワケが分からない。自分の意志で買ってきたくせに「見た目はアレだけど、はるばるフランスから運ばれてきたカタツムリ様なんだぞ!」と、自らを奮い立たせるとはどういうことだ。

食において、固定概念の殻をうち破ることの難しさを垣間見た思いがする。

まあいい。調理過程においては、時に見たくもない物を見なければならないことがあるものだ。それは「自分が何を食べているのか」を知る重要な機会でもある。いくら魚の内臓が気持ち悪いからと言って、そこから目を背けてはいけないのだ。(いや、背けてもいいですが)

一方、この殻の可愛さといったらどうだろう。


キミたち、本当にカワイイねぇ…。

コロンとした形がグッときて、たまらない。これだけを見ると完全に貝だ。フランス人のことは分からないが、日本人の感覚からすれば、貝を連想するのが普通だと思う。

まぁ、貝だカタツムリだをあれこれ言うのはもう止めにしようではないか。これらは食べるために存在するのだから、やはりまずは食べなければ。

さっそくパッケージに書かれたレシピにしたがって、エスカルゴの調理にかかった。


バター、パセリ、ニンニク、エシャロットを混ぜ、塩コショウで味を整えたものを用意。
まずは、それを殻に詰めたら、
エスカルゴを入れ(触覚らしき物は見なかったことにしたい)
奥まで入れたら、さらにバターをグイグイ詰めます

パン粉をかけて、オーブンで10〜15分ほど焼いたら完成である。バターとニンニクの匂いがプーンとして、とてもおいしそうだ。

いや、実際おいしかった。


ここまで来ると、もうカタツムリうんぬんなんて、言うのも馬鹿らしい。
カタツムリって、おいしいね

「おいしいね」と言いながら、4個しか作らなかったのには訳がある。ここで、ある実験をしてみたいのだ。高いお金を払ってまでもエスカルゴを買った、本当の理由。

それを、次ページからやってみようと思います。


長い前フリでした

 

 
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