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ロマンの木曜日
 
土面フェスティバルと土面オークション
土面の一例です。

ゴールデンウィーク前半戦の4月29日、茨城県笠間市で開催される陶炎祭というイベントにいってきた。「陶炎祭」と書いて「ひまつり」と読むらしい。

この祭りのメインは、地元の陶芸家、窯元達による展示即売会であって、私も陶器のお皿なんかを買いにいった訳なのだが、なぜかいってみたら陶器よりも「土面」の虜になってしまった。土面、最高。

そんな素晴らしき土面の世界をご紹介します。

(text by 玉置 豊



まずは「土面フェスティバル」から

陶炎祭でおこなわれる土面イベントは2つあり、ひとつが地元小学生による土面フェスティバル、もう一つが陶芸作家による土面オークション。

陶炎祭の入り口で、陶器の買い出しに来たお客さんの目の前にいきなり繰り広げられるのが土面フェスティバルだ。


会場入り口前に現れた小学生土面フェスティバル。

「土面フェスティバルとはなんなのか」といった説明の類が全くないのだが、察するところ、地元の小学校6年生がつくった粘土のお面=土面を展示する催し物らしい。


予想以上にカラフルな土面達。 子供が作った土面を見に来た家族連れ。

私は土面フェスティバルというものの概念がよくわかっていないので、小学校の頃、節分の時期にあった「鬼の面コンテスト」みたいなものだろうと軽く流そうとしたのだが、土面を一目見て足が止まってしまった。

これから陶器を見に行かなければいけないというのに、地元の小学生達が作った土面の魔力に捕まってしまったのだ。

 

陶炎祭賞受賞作品

まずは読者の方に土面がどんなものなのかをわかっていただくために、陶炎祭賞を受賞した作品を見ていただきたい。

陶炎祭賞受賞作品、これらこそが土面の王道、土面のなんたるかを示した作品であるといえよう。


網焼きハマグリかと思ったらパイナップル。たぶん。 配色がポップなイヌかクマかなにか。

オバQだね。しかも西川のりおバージョンだ。 小学生の作品とは思えない立体的な造形。

この4つを見てもらえば、審査基準とか、土面が目指すべき方向がわかってもらえただろうか。私にはまったくわからない。

作っている小学生、教えている先生、審査している偉い人、それらすべての人にとっての土面の概念がバラバラで、まったくコンセンサスが取れていない感じがする。自由だ。

このイベントが「フェスティバル」であって、「コンテスト」や「コンクール」ではない理由がここにあるのだろう。なにが正しい土面なのかなんて誰にもわからないのだ。賞はあくまでおまけであって、参加者が楽しめればいい。なぜならフェスティバルだから。

そんな土面フェスティバル、受賞作品以外ももちろん強烈な個性を発しているので、その一部を紹介してみたい。

 

人の顔

土面というものが、土でできた人の面であると定義するのなら、人の顔をモチーフにするのが一番真っ当な方法論だ。だがしかし、真っ当であるはずなのだが、なぜかあふれ出てしまう強烈な個性を堪能したい。


土の面。これが真の意味での土面なのかもしれない。 子供が描く女の子ってこういう顔だったよね。

インディアンっぽい。モチーフは自分の顔なのだろうか。 センター二分割。笠間市長の琴線に触れたらしい。

ほっぺたがウィンナーみたいで美味しそう。 富士通のお店にいきたくなる顔だ。

 

鬼の面っぽいやつ

私も最初、「土面=鬼の面」と想像したが、そう考えてそのまま作った小学生もいたらしい。きっと転校生。


ああ、大豆をぶつけたい。 節分に最適。

 

キャラクターっぽいやつ

土面といえばお面。お面といえば夜店で売っているキャラクターのお面。ということで、キャラクターモチーフっぽい土面もちらほら。


唇がセクシーなピカ。 20年以上変わることのない「子供が描くシャアザク」が今ここに!

ネコ型ロボット風。 赤いけれどネコ型ロボット風。

これもネコ型ロボット風なのだろうか。 これも…違うか。

 

魚類とか

笠間市は海から遠く離れているのに、なぜか魚類がモチーフになっているのも多かった。


正面から魚を描くって難しいよね。おちょぼ口がかわいい。 口の中になんかいるよ。車掌さん?

土面というか、土魚。先生の説明をちゃんと聞かないで作った感じがする。 甲羅のアバウトさが素敵な土亀。君も先生の話を聞いていなかったでしょう。

 

そしてタモリ

笠間の小学生はタモリ大好き。


どうみてもタモリ。カレーを食べ過ぎたタモリだ。 エキゾチックタモリだ。かっこいい。

眼帯タイプだ。初期型のタモリだね。 印象派タモリだ。

 

自由

今まで無理矢理小学生の作品を分類してみようとがんばってみたが、無理。みんな好き勝手やっていて、分類の余地がない。

笠間の小学生、自由すぎる。


パーツの構成がしっかりしている。現代アート系か。 モチーフはかわいいんだけれど、目が笑っていない系。

いつの時代の子供の作品だろうと思わせる懐かしさ。きっと三世代同居している家の子だ。 作者ニューロティカというバンドを知っているだろうか。

ダルメシアンのコスプレをした人の顔っぽい。 なんだかわからないがインパクトはある。

土面じゃなくて、剣道のお面かよ! お前もかよ!

情けなさがかわいいきのこ。そして口はNIKE風。 土面というか、時計。

もうお面という概念を超越している。昼と夜。 いつの時代も、額に「肉」の字は変わらない。

土面フェスティバル、子供達の発想が自由すぎてビックリした。土面に貴賤無し。全作品をまとめた写真集が売っていたら、うっかり買ってしまいそうだ。

この子達は、もうこのまま真っ直ぐに育って欲しい。なんだかんだいっても、こういう子供達がいる日本、未来は明るい気がしてきた。

さて続きまして、もう土面はお腹いっぱいかとは思いますが、土面オークションへ移ります。


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