5:消しゴムはんこ
意気ごみだけはよかったが、およそ10分くらいで彫り物は断念した。自分が不器用だったことをあっというまに思い出したのだ。
それだけではない。私の友人に、ちょっとおかしいんじゃないかと思うくらいこまごま作業が好きな人がいたことも思い出した。やじまさん、ブログのタイトルも「チクチクの日々」だ。彼女の作品は、その怨念的こまかさと乙女エキスでつくられていて目眩がする。
あの執念ならできる。指紋も彫れる。
登録への道
「指紋認証のくせに、消しゴムはんこ認証したらすばらしいじゃないか」と、管理部のUさんをどうにか説得し、連れだすことに成功した。
負けを認める
登録さえできなかった。指紋認証は完璧に人の指紋を見破った。
いさぎよく言おう。指紋認証との戦いは惨敗だった。
もう指認(しにん)などと言って、からかうことはやめる。ベビーパウダーをはたいたり、毛穴(を埋める)パテを指を塗ってをつかって、混乱させることもやめようと思う。
指紋認証の性能はすごい。たいしたものだ。私はかんぜんに負けた。
だからこんどから、出社時は一発で認証してほしい。
もうひとつのたたかい
ここまでお読みいただきありがとうございます。
一連の画像と動画は、のんきに認証機とたたかっていたように見えたと思いますが、実は緊迫した状況下での冷戦でした。
もうひとつの難関は「上司の目」。
「セキュリティシステムで遊んでいるように見えますがこれは戦いなのです」と言い張っても、なかなか上司には理解してもらえない。だったら逃げるしかありません。
彫り協力:タイ料理が好きすぎて、前世はタイ人だと信じている、やじましょうこさん(チクチクの日々)