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土曜ワイド工場
 
銅像と目を合わせたい

●銅像と目を合わせるための2、3の方法(応用編)

街にはもう少し工夫をしなければ目を合わせられない銅像もありますね。ここではそんなイケズな彼らと通じ合うための方法をいくつか紹介したいと思いますよ。

さて、シャケものぼってくるという盛岡市内を流れる中津川ですが、そこにかかる下の橋近くに小さな公園があります。そこに彼はいましたよ。


「久しぶりだね」


あ、お久しぶりです。えーと……誰でしたっけ?


「新渡戸だよ」


なんと旧5000円札でおなじみの新渡戸稲造先生でした。
さて先生、目線はやや下を向いてはいるのですが、やはり少し高いところにお座りになってまして、しかも啄木像のときのように手前に足場がありません。さすがに台座そのものに足をかけるのはためらわれます。
そんなときは、ひと工夫ですよ。銅像と上手に目を合わせるには道具を使うことも必要です。たとえば皆さんのご家庭にもきっとある……そう、脚立を持ってきましょう。それにのぼって自分の目線を高くするわけです。簡単ですね。

こんなふうですよ。


こんなふう


そうですね。これはちゃぶ台ですね。
探したけどぼくの家に脚立はありませんでしたよ。蛍光灯が切れたときのことを想像して今から困っています。

とにかく、ちゃぶ台でもなんでも道具は使いようです。たとえ素晴らしい包丁を持っていても、それを活かせるかどうかは料理人の腕次第ですからね。ぼくなんかいまだに家の電子レンジを使いこなせないでいますよ。腹立たしいですね。そんなわけで新渡戸像を難易度でいうならば、「あたためモードで解凍しない」といったところでしょうか。


難易度: あたためモードで解凍しない


さて続いてですが、こんな銅像の場合はどうでしょう。
盛岡駅の西口側と東口側とを結ぶ道路の下に、彼はひっそりと佇んでいます。


「よくここがわかったね」


近未来ですね。さてこの青年、台座に乗っているうえに身長がかなりあって、おまけに目線がやや上を向いているため必殺のちゃぶ台も通用しません。ですが、その時点であきらめてしまっては大半の銅像と目を合わせることは叶いません。いつまでも煮物が苦手と言っていられないのと同じことですね。こういう場合は、その銅像の視線の先にあるものを確認しましょう。
この青年がみているもの、それはなんでしょうか?


あ、あれは!


り、立体駐車場!!


そうです。青年はじっと立体駐車場をみつめていました。それならやることはひとつですね。視線の先に建物があるならば、そこに移動すればよいのです。
とにかくあきらめたらおしまいですよ。無理かなと思ってもやってみることです。難易度は、「遅刻しそうな朝なのにコーンポタージュが熱い」ですね。なんとしても飲みたいですね。
それではさっそく駐車場へと移動してみましょう。


階段を駆け上がり……

みて! あそこ!


自分で見当つけてのぼってきておいて「みて! あそこ!」もないとは思いますが、とにかく目的の場所に到達することができました。そこからみえる青年の姿、こんなふうですよ。


難易度: 遅刻しそうな朝なのにコーンポタージュが熱い


……。

 

やたら望遠ですね。
でもまあ、合ってるか合ってないかで言えば合ってますよ。その、遠くからでも凹凸的なものがはっきりと、こうね……うん。

 

<応用編のまとめ>

  • 新渡戸の銅像は食べた料理についてコメントを考えているみたいにみえる。
  • 小さい公園だと駐車場がないため近くのコンビニからちゃぶ台を抱えて歩くことになる。
  • 強引に盛り上げようと思っても立体駐車場にそれほどのポテンシャルはない。
  • 青年とは目が合ってたってことでいいじゃないか。

じつはこの応用編、もっとダイナミックな展開を予期していたのだが、そんな期待とは裏腹に撮影は坦坦と進んでいった。駐車場の上から銅像を指さしている写真には、なんとか盛り上げどころをつくりたいという焦りが前面にでてしまっている。非常にわかりやすい空回りの資料が得られた。

さて、ここまで銅像と目を合わせるための一般的な方法を紹介してきたが、世の中には、そもそも人と目を合わせることを最初から拒絶したような銅像もある。そんな彼らとどうやって通じ合えばいいのか、最後にそのへんを考えてみたい。

ところで、今さらながら土井善晴に対するコンセンサスがどれくらい得られているのか不安ですよ。


 

 
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