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ひらめきの月曜日
 
犬とともに走る!(たまに)転ぶ!

3月に突入し、本州ではすでに春が来ているようですが、北海道ではまだ雪が積もっています。
とはいえ少しずつ冬の寒さもゆるみ、だんだん春めいてきました。

冬を満喫できるのもあと少し。何か冬らしいスポーツのひとつでもやっておくべきだろうか?
私自身はスキーもスノーボードもやりません。
冬らしいスポーツ…。冬といえば雪…。雪といえば…そり?

というわけで、残り少ない冬を満喫するため、犬ぞりレースを見に行ってきました。

text by 加藤 和美



■広がる雪原が美しい

犬ぞりレースを観戦するため、千歳市の牧場へ向かう。 前の週に吹雪が続いたため牧場には新雪が積もっていて、なおかつ当日はかなりの晴天。おかげで雪原が美しいのなんのって。


見渡す限り広がる雪原!まぶしい!

この日は日差しが強く、風も吹いていなかったので、日中はダウンを着ていると暑いほどだった。
寒くなかったのは良かったが、雪焼けの存在を忘れていた。
紫外線ケアも中途半端で、夜には顔が雪焼けでヒリヒリしてしまった。
ウィンタースポーツに不慣れな人が陥りがちな失敗だ。

準備をする出場者たち。犬もレースを前に勝負モード。
ワゴン車にたくさんのケージが積まれている

■会場に着くと…

大会の開催は9時30分からなので、それより少し早めに着くと、駐車場にはさまざまな車が停まっていて、出場者の皆さんが準備に入っている。

そり犬たちも車の横につながれていて、レースを前に興奮しているのか、元気にワンワン吠えている。

会場と駐車場はすぐ隣で、会場内はたくさんの犬の鳴き声が響き、犬の数が多いので犬の匂いがただよっていた。


駐車場に着いてまず驚いたのは、車の多様さ。
そり犬を数頭乗せるために、みんなワゴン車で来ているのかなとは思っていたのだが、ワゴン車だけではなかった。

車の後部にケージを乗せている車はもちろん、トラックを改造していたり、犬用の車を牽引していたり、はてはマイクロバスを改造している車もある。

そり犬のケージがたくさんくっついた車は、ドアの形もさまざまで、車を眺めているだけでも興味深い。
ドアの形が肉球の形になっていたり、車の横に犬を繋げるバーがついていたり、天井にそりを乗せたり…と、さまざまな工夫がしてあるのが面白かった。


車はさておき、いよいよ犬たちに接近してみよう。

車の後部に犬のケージがとりつけられているタイプ。
こちらは、車で牽引するタイプ。
コンテナトラックを改造したのだろうか。小窓が並んでいてかわいい。
立派なトラックで移動している参加者も。

確かに足は速そうだが、短毛なので寒そう…。
犬ぞりといえば、このシベリアンハスキーだと思っていたのだけれど。

■想像と違う犬たち

駐車場では、出場するそり犬たちがたくさん繋がれていた。
レースを前に興奮して吠えている犬あり、そんなこと気にせずぼんやりしている犬ありで、にぎやか。

私は犬好きなので、「今日は犬にいっぱい触れるぞ〜」とワクワクしながらやって来た。
が、しかしレース前に話しかけても申し訳ないし、レースに出る犬に触るのも気が引ける。
そもそも、そり犬はみんな大きくて、なおかつレースを前に興奮しているので、なんだか怖い。
お散歩中のワンちゃんに触るように、気軽に声をかけられないのだった…。


それでも、たくさんのワンコを前に私のテンションも上がってきた。
そして、そり犬たちを見て回っていて、非常に気になることが…。

というのも、そり犬といえば、昔はやった「シベリアンハスキー」という雪国仕様の犬種ばかりだと思い込んでいたのだが、そのシベリアンハスキーはあまりいない。

体がスリムで、特に足が細く、短毛な犬がほとんどだった。
外国の犬のレースなどで走る犬種にも似ている。
確かに足は速そうだが…。

この犬種は何だろう!?
犬ぞりといえばシベリアンハスキーではなかったのか?

お話を聞かせてくださった、シベリアンハスキーでレースに出る田上さん(右)。

■お話をうかがってみた

「想像とだいぶ違うぞ???」「この犬種は何だ!?」と疑問に思いながら駐車場をウロウロする私。
このままでは解決しないので、そり犬の飼い主らしき方に声をかけて、お話を聞かせていただくことにした。

お話をうかがったのは、シベリアンハスキーを5頭連れてきていた田上さんという男性。


ちなみに田上さんの車の助手席には、ホワイト・テリアみたいな小型犬がいたのだが、聞いてみたらそのワンちゃんはそり犬ではないとのこと。
…聞くまでもないか。

――犬ぞりレースに出場し始めてどのくらいですか?

丸6年です。


――犬ぞりといえば犬種はシベリアンハスキーというイメージがありましたが…。

3頭引き以上のレースで多いのは、アラスカンハスキー系のミックスです。犬の走りの特徴を混ぜ合わせたミックス犬が多いですね。
シベリアンハスキーっていうのはそういう犬種から見たらスピードが遅いわけです。だからタイムを競うスプリントのレースでは、シベリアンハスキーはあまり使いませんね。
うちは「ピュアブリード」という種目に出るんです。シベリアンハスキーならシベリアンハスキーだけという、その犬種だけのレースです。ミックス犬と一緒に走ったら勝負にならない(笑)



なるほど、犬ぞりで使われる犬種は、実際には速い犬種同士のミックス犬が多いようだ。
お話をうかがってかなりスッキリ。
この後、飼い主さんたちに犬種を聞いてみたところ、やはりアラスカンハスキー系のミックス犬が多いようだ。

こちらがアラスカンハスキー系。シベリアンハスキーより短毛でスリム。
アラスカンハスキーとポインターのミックス系(ユーロハウンド)。足速そう。
少しだけど、ボーダーコリー系もいた。
みんな体が締まっていて超スリム。アスリート体型だ。

引き続き、田上さんのお話をうかがってみると…。


――田上さんが飼ってらっしゃるのはシベリアンハスキーばかりのようですが。

本来はミックス犬、とも思ったんですが、うちは一番最初にシベリアンハスキーを飼ったんですよ。シベリアンハスキーは見た目もきれいだし、年をとってマッシャー(犬ぞりに乗る人)ができなくなった時に、ぺットとして飼うにはシベリアンハスキーがいいなと思って。


――今日出場されるレースは?

ピュアブリードの2頭引きに、2チーム出ます。マッシャーは私と家内です。


――犬ぞりの練習は、普段どのくらいなさってるんですか?

週に1回、ないしは2回ですね。1チーム約1〜1.5キロくらい走ります。


――マッシャーが普段されていることは?

やっぱり犬の管理ですね。まずは体調管理です。
それから練習でしょうね。犬っていうのは走れば走るほど速くなるわけですが、犬は毎日練習してもだめなんです。2日練習して2日休むとか、3日練習して2日休むとかが理想です。休ませないとね。


――マッシャー自身が大変なことってありますか?

そんなに大変ってことはないですよ。


――転んだりとか…。

最初はそりゃあ転びますよ(笑)。カーブで体重移動しなければいけないんですが、最初はみんな転びます。そのうち転ばなくなりますよ。


――この大会以外にも出場されていますか?

あちこち出てますよ。犬ぞり連盟の公認レースが3回、それ以外にも旭川、稚内(わっかない)、名寄(なよろ)とか…。
皆さんも同じで、あちこちに出場していて、みんな顔見知りですよ。今は3月だから(今季は)このレースが最後かな。


――雪がないシーズンは何をしているんですか?

夏は自転車競技があるんですよ。バイクジョアリングっていって、犬が自転車を引くんです。それがあるんで、夏も練習してます。


――シベリアンハスキーは暑さに弱いので、夏は大変なのでは。

練習は犬が嫌にならない程度にね。


――犬ぞりの魅力は何ですか?

自分が手塩にかけて育てて訓練した犬と、一緒に大会に出て走る。これはもう最高の、格別な喜びですよ。それが優勝とかになったらもう感動でしょうね。
自分の子供みたいなもんですよ。訓練の成果が大会で出るわけで、そりに乗れる、乗せてもらえるということはこの子達に対しての幸せにつきますよ。一緒に育てた犬と走る喜び、それがなければできないですね。ただタイムを狙うだけとか、走るだけではね。


――過去に優勝経験は?

去年稚内で優勝して、チャンピオン犬になりましたよ。二連覇を狙ったんだけど、今年は二位で終わった。


――優勝とはすごいですね!強さの秘訣は何ですか?

うーん…。レースが好きというよりも、犬が好きで、犬と一緒に何かをしたいという気持ちでしょうね。


田上さんの愛犬の、シベリアンハスキーたち。
スタート直前、愛犬を励ます田上さん。マッシャーは奥さま。

田上さんからは、そり犬への愛あふれるいいお話を聞けてしまった。
このお話を聞いたことで、見る側のこちらも、犬ぞりレースへの思い入れが生まれてきたから不思議だ。


さて、いよいよレースの始まりだ。


 

 
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