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はっけんの水曜日
 
蜘蛛の糸式エントリーシート
アピールすることなんてねえよ・・・


3月も半ばになって絶賛就職活動中である。付け加えると、「僕のまわりの人たちが」。

僕はというと、既に就職活動の初期段階から壁にぶち当たっている。エントリーシートという自分をアピールする文章を書くことができない。「学生時代に打ち込んだことは?」と言われても、そういったエピソードがないのだ。

正確には、本当に何もないわけではなく、あるにはあるが、大したこと無さ過ぎて「これは書いても仕方がないんじゃないかなあ…」と思ってしまう。

でももしかしたら書いてもいいのかもしれない。

(text by 藤原 浩一

アピールできる人たちのエントリーシート

一応読んでみるものの

アピールできないと地獄行き

エントリーシートというのは、就職活動でまずはじめに書く(書かされる)応募用紙だ。エントリーシートの特徴は企業が用意した設問に対して数百文字の作文形式で答えることで、その設問の多くは志望動機や自己PRに関連している。

具体的には

  • 今まであなたが大きく成長できたと思う出来事を具体的に記入してください
  • あなたの他の人とは違うポイントを教えてください
  • 「これだけは!」と自慢できることは何ですか?

端的に言って、こんな質問には答えられない。何か書こうとすると

  • 「成長して、それ?」
  • 「そこは違っても意味がないでしょ」
  • 「そんなの自慢にならない」

という声が脳内に響く。なのに、一回に多くて5〜6問答えなくてはいけない。もういやだ。早くも挫折だ。

 

 

正しいエントリーシート

エントリーシートがどのようなものか確認しよう。普通にいい感じにエントリーシートを書くとしたら、こうなるのではないだろうか。ためしに書いてみる。


学生時代に力を入れたことを200字以内で記述してください。

100人規模のテニスサークルの幹部として、仲間との信頼関係を大切にしながら精いっぱい働いたこと。夏の合宿の際、規模の大きさからの連絡や費用の徴収が中々行き届かず苦労した。多くの人の期待に応える重圧と責任を痛感。幹部仲間との連携を大事にすることで最終的には不備なく開催することができた。一人の力では到底できないことを成し遂げる充実感を得て、一致団結することの大切さを知った。この経験は何にも代えがたい。(200字)


自分でもびっくりしているのだが、あっという間に書けた。上記の例では苦難に立ち向かう様子やコミュニケーションを大切にする様子がまあまあ表現されているのではないかと思う。

ただ残念なのは、上記のことは僕にはまったく当てはまらないことだ。こんなヤツがいたらむしろ敵だ。僕はテニスサークルになんて入っていないし、もし何か連絡が行き届かないとしたら、僕の方が幹事に返事をしていないからだろう。

でも、本当のことだと何も書くことがない。アピールすることもない…。


本には凄いことばかりかいてある

 

エントリーシートに蜘蛛の糸はあるか

話は唐突に変わるが、こうして考えると、あの世で天国へ行くか地獄へ行くか閻魔大王が決めるとき、生前の記録を事細かに記した帳簿を参照するというが、まったくもって便利なシステムである。自分で言わなくていいのだから。

あの世の入口で「天国への志望動機」だとか「生前行った善いことと、その時苦労したこと」とかを書かされるような仕組みでなくて本当に良かったと思う。

ところで地獄と言えば「蜘蛛の糸」という話がある。地獄に落ちた男が生前の些細な善行(蜘蛛を助ける)によって、釈迦に極楽へ案内されそうになる、というストーリー。


とてもいい話だと思う


そこで閃いた。蜘蛛を助けるだけで極楽行きのチャンスをもらえるのだから、実はエントリーシートも同じなのかもしれない、というのが僕の考えだ。

つまり「僕は蜘蛛を助けたんですよ!」というようなエントリーシートもありかもしれないのではないか…? にわかに希望がわいてくる。

 

些細な出来事に基づいたらこうなる

嘘でない、僕のありのままの姿でエントリーシートを書くとしたらどうなるだろう。

例えば「学生時代に力を入れたこと」。力を入れたことと言われても困る。できるだけ力を抜いた学生時代を送ってきたからだ。

どうしても、と言われたらこういうのしかないだろう。


自転車が絡まった

力を入れる

 

学生時代に力を入れたことを200字以内で記述してください。

 駐輪場で隣の自転車と絡まった自転車を取り出すこと。私の家の最寄り駅にある駐輪場は自転車同士の間隔が狭く、ハンドルが車輪に挟み込まれてしまい自転車が取り出しづらく苦労する。隣の自転車を傷つけないようにする大変さを痛感。自分の自転車をゆっくりと持ち上げて引き寄せることで最終的には不備なく発車することができた。一人の力でも成し遂げる充実感から、諦めないことの大切さを知った。この経験は何事にも代えがたい。(200字)


取れました


ポイントは「諦めない精神」、「人の自転車を気遣う優しさ」、それと「本当に力を入れている(腕や腰に)」の3点。お釈迦様のような採用担当者がいたら気付いてくれるかもしれない。

こんな程度のエピソードでなら、なんとか書けるかもしれない。頑張ってみよう。


 

 
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