●打たれるのは即刻中止決定
ゴッツゴツの川辺を歩いていくと、急に川の様子が変わって見えるところに出た。しばらくの間、その様子を目の当たりにしても、意味がわからなかった。
答えから先に言ってしまおう。これがハナゲの滝だ。
と、言ってもわかりにくいだろう。実際現場にいてもよくわからなかったのだからそう思う。写真左下に向かっている水の流れを登っていくと、よくわからないことになっていると思う。
まだ溶けていない雪が滝にかぶさっている。雪が途切れたところから水が流れ出ているのが見える。雪の下で川はしっかり流れているのだ。
という解釈をするまでしばらくかかった。解釈したあとも不思議感は残る。水が流れる滝をカバーするように雪がかぶさっているというのは、どういうことなんだ。
ほんとに鼻毛っぽいかなー、などとのんきに考えていた当初の気持ちは、割とどうでもよくなってしまった。
びくびくしながら雪の上に登ってみる。登ってみたら確かに右側にもう一つの流れが合流していたのが確認できたので、目指していたところはここで間違いないことはわかった。
ただ、でかい木が根こそぎ横たわっていたりして、もう鼻毛とか言っていられない。
心の警報はマックス。打たれるのは中止だ。
写真中央下寄り、黒い筋みたいなのが私だ。
雪解け水の冷たさは、さっき川を渡ったときに身にしみてわかっている。足を濡らしただけなのにあんなにしびれたんだ。命の呼び声がここで浮かれてはいけないという判断をさせる。
当初の目的は成し得てない。鼻毛っぽいかどうかもちゃんと判定できない。それでもハナゲの滝を前に、達成感は否が応でも感じることができた。
ハナゲの滝を目指して、普通に自然のすごさに打たれたという今回の試み。何か偉大な存在から、調子に乗るなと言われたような気がする。
自然の雄大さに圧倒されると、ハナゲがどうとか、もうどうでもよくなるということがわかった貴重な機会だった。