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フェティッシュの火曜日
 
山伏と行く、初めての修験道

目指せ山頂

もう山頂まですぐなのだが、ここからは地面が溶岩が冷え固まったもので覆われており、足をかけるとずるっと滑る。三歩進んで二歩滑る。


これが歩きにくいったらありゃしない。

富士山頂のように明らかに空気が薄いということはないのだが、修行だと思わなければ一歩たりとも登る気にならない道である。まさに修験の道。逆に修行だと思えばまだ登れるというのは発見だ。

修行、修行、修行とつぶやきながら、修験僧というよりは亡者か餓鬼のようにうつろな表情で足を動かし、どうにかこうにかギリギリ日の出前に山頂へと到着すると、山頂にある鳥居の前で、山伏さんが「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」とやっていた。小学校の頃にこの手で印をむすぶやつを授業中延々練習していた田中君に見せてあげたい。


おお本物!


御来光バンザイ!

山頂にはすでに多くの山伏達、登山客、興味本位で来てしまい後悔している友人などが、明るくなりつつある方向を見ながら御来光の時間を待っていた。


空気が静まりかえっている。

そしてとうとう御来光というタイミングで、静まり帰った山頂に予想外の声が上がった。

「さあ、御来光の時間です。みんなで万歳三唱を致しましょう!」

忘年会か。修行と一番遠いところにある行為のように思えた万歳だったが、山頂でみんなとする万歳三唱はとても気持ちがよかった。

ばんざーい!


ばんざーい! ばんざーい!

なんだかよくわからないけれど、万歳をしたことでハッピーエンドになった気がする。

とてもいい修行をさせていただきました。


とりあえずガンガンとならしてきた。 山頂でカップヌードルミニが売っていた。きっとこの人は神様。

家に着くまでが修行です

どうにか御来光に間に合った今回の修行なのだが、登った山は降りないと家に帰れない。登りは御来光というモチベーションがあったのでどうにか頑張れたのだが、下りは罰当たりなことを承知でいわせてもらえば、ただただ面倒臭い。体が辛いというよりも、わざわざ登ってきた道をすぐに下らないといけないというところが気持ち的に辛いけれどそれが修行。そして強烈な筋肉痛が三日ほど続く。しかしそれもまた修行。なんでも修行。ああ修行。

修行の成果として、いつかくるであろうこういう機会に備えて、ダイエットをしようと強く思った次第だ。

帰り道。ここまで登ってしまった自分が憎い。

 
 
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