柾目への執念
よくよく考えたら、外に干してあったあの板たち、幅数センチ・長さ50センチ程度のものもたくさんあった。あれらはいったい、家具の中のどこにどうやって活用するというのだろう。
その答えの一端がここにある。「板はぎ」と呼ばれる工程だ。何枚かの板をはぎ合わせて1枚の板にするというのだが・・・。
なんと接着剤の登場だ。
接合面に接着剤(環境にやさしいエコボンド使用)を塗った板を下写真の機械に平らに並べ、圧力を四方からかけると、高周波で接着剤がガチガチに固まり1枚の板になるのだ(電子レンジと同じ原理)。加熱時間3分で、強度も十分なものになるという。
自然。どうにも自然だ。板の柾目(平行に何本も走る木目)の方向が完全に揃えられ、つぎ目がほぼわからない(色がちょっと違ったりと、よく見ればかろうじてわかる)。そこが技術力なのだろう。うーん、この柾目に対するこだわりには、うなるしかないのだった。
うちにも欲しいが用途が見つからない、ボンド付け機
さらに桐は、「合板」にすることで強度を増してもいる。タンスの扉や引き出しの前板に使われる板を、「練り付け」という方法で接着し、狂いのない板にするのだ。この工程も興味深いのでぜひ紹介したい。
同行の平社氏も言う。「なぜ桐タンスが高価なのか、ここに来て初めてわかったんですよ。材料の段階でこれだけ手間をかけてるのがすごいんだと」
“すごい”はまだまだ続く。次ページでもまだ、タンス組み立てまで進まない、と来た。