デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
桐タンスってこんなに手間がかかってたのか!

いっそここで働きたい

この日、訪れたもう1社の「加茂桐タンス」さん、そこでも驚きの技を見せていただいたのでぜひ紹介したい。やはり地味だが驚愕必至だぞ。

原木から取れる柾目の板は、ご想像のとおりほんのわずかだ。木目がまっすぐ平行に、きれいに通っている箇所など、ごく一部。ならどうやってタンス扉などに大きな柾目の1枚板が使えてるんだ、というと前ページでご覧に入れたとおり。

しかし はぎ合わせる前の1つ1つの小さい板も、「まっすぐな」木目だけとは限らない。木目が左右に弧を描いて湾曲していたりする。ならどうするか。こうする。


この機械に、湾曲度合いを計算に入れつつ板を通していくと・・・
木目どおりに、1cm幅の短冊状に切れるわけですよ。

このように細くすることで曲げやすくなり、木目をぐいっとまっすぐに正してやることができるというわけだ。商品をより美しくするため、どのメーカーでもやる重要な作業だという。

ぐいっとまっすぐに直し接着したら、当然端っこはこのように段差ができる。
ここにある板、よく見たらわざわざ直したものがたくさん!

世界の見聞に長けてない自分だが、あえて ひいき目交じりで言わせて貰おう。皆さん、こんな民族、どこにいるでしょうか。これほどに「木に気を入れる」意志、技巧ってあるのだろうか。ここまでして、柾目を。「手仕事ニッポン」の国に生まれて本当によかった、と思える瞬間だ。

私はこの工程、1日中やってみてもいいと思った。


さらには引き出しの順番まで、目を見て決める。きれいな木目ほど上のほうの引き出しに使うのだとか。

柾目のまっすぐに通った、完成品の扉。ここまで手がかかっているとは知りませんでした、すみません。

平社氏らが参加したイタリアでの展示会でも、桐の柾目がきれい過ぎて “オー、これはプリントじゃないのかマンマミーア?”と何度も聞かれたそうだ(マンマミーアと言ったかは知らん)。外国の方にはどうしても印刷にしか見えないほど、完璧な出来ということ。それはそれでちょっと歯がゆい気もする。印刷と間違えられるとは。

さて次でやっと組み立て工程だが、またまたうなりまくる私たち、なのであった。

 
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.