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はっけんの水曜日
 
松本商店の美味しい干物レシピ

塩汁に1時間漬け込む。冬なら長め、大きい魚の場合も長め。

■つけ汁に1時間ほど漬け込みます

 開いて血を抜いた魚を、今度は最初に作ったつけ汁に漬け込む。時間は、「まぁ、今日なら1時間でいいでしょ」という母の言葉に従って1時間。

 ほとんど言いなりで作ってるが、今までの人生でここまで母の言いなりに行動したことは無かったように思う。反抗の多い生き方をしてきた気がする。ごめんなさい。

ほとんど砂糖醤油みたいなみりん干し汁に2時間。汁が濃い場合は短めに、何度か使って薄くなったら長めに漬ける。

■みりん干し汁にも漬け込む

 作りたてのみりん干し汁は濃いから漬け時間は短くていいらしい。特に、イカは味が染みやすい。

「魚を何度か漬けて少し薄くなった汁じゃないとイカのみりん干しは上手くできないのよ」

だそうだが、何度も漬け込むほど魚を用意してない。困ったが、「イカだけ少し漬ける時間を短くしたら?」との事なのでそのように作った。イカ以外は2時間、イカは1時間漬け込んだ。

 お気付きの方もいらっしゃると思うが、母はかなりいい加減な性格で、やることが大雑把だ。血液型はひどい事を言われる事が多いB型。僕もB型だ。母子揃ってB型だが、それは多分性格には関係ない。兄は割りと細かい性格だがやっぱりB型だから。


店番をしたり後かたづけをしたりしながら、待つこと1時間。

いよいよ干し工程に入る。


見た目はあまり変わらない。そりゃそうか。干す前に真水で塩汁を流す。生臭みを取るんですな。

小さい干し網を店先に。この店、いつもこれで作ってると思われたらやだな、とか思った。

■天日で干すこと3時間半

 この日は晴れ時々曇り。大体3時間半ほど干すと出来上がりという。店先に家でいつも使っている干し網(左の写真の青い網)をぶら下げてその中に干物を並べた。流石小さくて数枚並べただけで一杯になった。

 実家に住んでた頃、魚の開きを畳一畳ほどの大きさがある干し網に並べる手伝いをした事がある。一度に100枚とか200枚とかの干物を作る。中腰で延々、網に開きを並べる作業は腰に負担が掛かって大変な仕事だった。

松本商店の歴史の中で作られた何十万、何百万、もしかしたら何千万枚の干物に思いを馳せると気が遠くなる思いがする。

いいのかと、と思うくらい汁が下に垂れてたけどいいのらしい。

■みりん干しも干す

 普通の干物に遅れてみりん干しも味が染みた(前述の通りみりん干しは2時間漬け込んだ)。持参の干し網だとスペースとつけ汁の関係でいまいち干しにくかったので業務用の干し網を借りた(左の写真の黒い網)。

 これなら大体20〜30枚くらいの干物を一気に干せる。みりん干し汁で汚れるのも「もう使わないし気にしなくて良いよ」との事だった。

 家庭用の干し網だと虫などはガードできるが、結構日光や風もカードしてしまう。沢山の干物を作るにはやはり業務用の網が最適だと思った。乾くのが早そうだ。

 

■みりん干しにはゴマをふる

 網に開きを並べたらゴマをふる。これはみりん干しだけの工程。食べた時ゴマの風味があるとみりん干しはグッと美味しくなる。量はお好みで、出来ればまんべんなく振りたい。ただしイカのみりん干しはゴマは無し。


イカ以外のみりん干しにはゴマを振り掛ける。量とかは結構適当。

あとは干物が乾くまで待つ。またしても店番をしながら待つこと3時間半。


なんだかんだで10時頃から始めて、完成まで6時間ほど。大変ですな。

■干物が乾いた!


すっかり乾いた。みりん干しは若干汁が残ってべたつくが、これでいいのらしい。

結構な量になった。松本商店で売ったら全部で1500円くらいか。

 良い天気と干し網のお陰ですっかり干物が出来上がった。今回作ったのは計13枚。

・アジの干物 3枚
・サンマの干物 1枚
・鯖の干物半身 1枚
・サンマのみりん干し 2枚
・鯖のみりん干し 1枚
・イカのみりん干し 2枚
・ブリのみりん干し3枚

 乾いた干物は1枚1枚ラップで包んだ。干物の身は酸素に触れ続けると酸化してしてしまう。脂質が酸化すると独特の臭みが出てしまうのですぐに食べないのであればラップしてしまうと良い。または、冷凍。酸化防止にはラップか冷凍が効く。

こうしていくつかの工程を経てついに干物が完成した。果たしてその味は伝統を引き継げたのか?


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