●股をどうにかしよう
今度は、ズボンが左右に分かれていく地点に着目したいと思う。左右の裾から上がっていって、それが合流するところまでが脚と見なされる、という仮説があるとしよう。ならば、その合流地点をどうにかすればいいのではないか。
処分しようと思っていたズボンの中には、全く同じサイズとデザインで色違いのものがあった。この2つを合体させることで、脚長ズボンを作ってみよう。
切り合わせて、左右ちょうど半分ずつ別の色のズボンにしてみた。右上の写真のように脚を開いて履いていると、ズボン左右の合流地点がはっきりわかって脚長効果はないのだが、気をつけの姿勢で立ってみると…。
左右の合流地点が見えなくなる。そして左右が別の色であることから、どこが股なのかもわかりにくくなり、結果として脚が長く見えるのだ。
…ということを考えて作ったのだが、どうだろうか。
「確かに脚長に見えるよね!」と、自分に言い聞かせて見ればそう見えないこともないのかもしれない。ただそれは、脚長ズボン効果というよりも、無理のある思い込みだと言った方が正しいような気がする。
うーん、めぼしい結果を出せてない。もう少し股間にこだわって別のズボンを作ってみよう。
アイデアも枯渇してきたのだが、ぱっとした成果を出せなかった錯覚仕様の脚長ズボン3号に貼ったテープをはがしてみる。別のコンセプトで復活させたい。
「裾から上がって、左右の合流地点までが脚とみなされる」という仮説にもう少しこだわろう。ならば合流地点が上に上がったように見せればいいのではないか、という方法だ。
今回、写真の撮影をしている背景は白。股間をうまく背景に溶かすことで、そう見せようという算段だ。
ノーマル状態のズボンの股間部分に、テープを貼っていく。こういうことになるわけだ。
じっと凝視するのではなく、あいまいな感じで見ていただきたい。もしかするとこれは、脚が長く見えているのではないか。
股上が全くないのが不自然なのだが、シャツの下からがいきなり脚になっているようにも見えなくはない。そしていろいろと微妙にポーズを変えてみたベストショットがこれだ。
…おお、「なんか変だけど、脚長」と言っていいのではないか。
微妙にかがんだポージング。その一瞬の脚長としてのきらめきをカメラは捉えた。かっこよさにつながっているとは言いかねるが、バランスがおかしいながらも一応の目的は達したと言ってみたい。
●無駄に知恵を駆使して生まれた脚長ズボン
紆余曲折あったが、脚長ズボン5号を今回の試みの到達点としよう。背景色との兼ね合いやポージングなど、課題は多く完成度は低いが、一瞬でも脚を長く見せたという奇跡を素直に喜びたい。
脚長ズボンを開発しようとしている服飾メーカーの方がこの記事をご覧になることがあったら、私がやってきた方法は失敗例としての実績があるので、試す手間が省けるのではないかと思う。