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ロマンの木曜日
 
明治から続くロケット祭り 朝比奈大龍勢

変わったホームページの中国料理店

続いて向かったのは、Webを検索していてヒットした「中国料理 山水」というお店だ。
このお店のホームページがちょっとおもしろいのだ。
https://www.san-sui.org/index.html
ぼんやり見ていると、ごく普通の、しいていうならFlashなど使っていて街の中華やさんにしては手の込んだデザインのサイトなのだが、よく読むと、たとえばメインページの

素材については厳選に厳選を重ね、入手できないものは使用しないなど、厳しい態度で臨んでおります。

や、お薦め品ページの

水、ライス、ビール、コーラなど四季を通じて安定した味を実現。

など、こんなこと書いちゃって大丈夫なのかと心配になるような表現が、これ以外にもあちこちにある。

もしかしたら、誰かが冗談で作った架空のお店紹介サイトで、ほんとうは山水というお店なんてないんじゃないかとも思ったが、このお店について「おいしい」と書かれたブログがいくつかあったので(それも架空のブログかもしれないが)、その意見を信用して行ってみることにした。


もちろんちゃんとお店はありました

立派なお店だ

佐久平の駅から少し離れた岩村田というところに、お店はちゃんと存在した。
店内も立派で、ユーモアたっぷりのサイトの印象とは大違いだ。
率直にいうとちょっと心配だったのだがひと安心しながら、五目焼きそばを注文した。


うまそうですよ

おいしいではないか

サイトの、あの飄々とした雰囲気とは違い、五目焼きそばはとてもおいしい。
先ほどの店より、山水の方が麺を強く焼いているように感じた。
サクサク感があんかけでほんのり柔らかくなっていて、焦げ目の付いていないぷりぷりの麺と一緒に食べると、おもわずにやけてしまうほどのおいしさだ。


本筋とは離れるが、うずらの卵が大変うまかった

おいしさの裏返し

マスターにお話を伺ったところ、お店のサイトはマスター自身の手作りとのこと。
「信用できないお薦め品」などと書いていて、本当においしくなかったらおもしろくも何ともないが、あのようなサイト(失礼ながら)なのにおいしいというのが、このお店の魅力だなと思った。
佐久にまた来ることがあったら必ず寄って、こんどは他の料理もぜひ食べてみたい。


このカリッとしたところが最高


東横インで考えたこと

さて、ここまで読んでいただいて、うっすらお気づきの方もおられるだろうが、今のところ僕は出張先で夕ご飯に五目焼きそばを食べているだけである。
しかも、2件続けて。
山水のマスターに、「このあたりは五目焼きそばが有名だというので取材している」と告げたのだが、「へえ、そうなんですか」という返事がかえってきたのみだった。

どういうことだろう。

ホテルに戻ると急に不安が襲ってきた。
僕は、まったく的外れな取材をしているのではないだろうか。
勝手に五目焼きそばがこの街の名物だと勘違いしているのではないだろうか…。
試しに「佐久 上田 チャーハン」と検索してみたところ、チャーハンがご当地グルメだと思いこんで読めばそんな気がしてくる検索結果が出た。(→こちら

ちなみに「佐久 上田 スパゲッティ」でも同様だ。
検索しなきゃよかった。
翌日はおとなりの上田市で五目焼きそばを2件食べる予定をすでに立てている。
もう、何も考えたくなくなり、ベッドに潜り込んだ。


上田駅にやってきました

上田へ

翌朝、佐久よりも五目焼きそばの有名店が多くあるという上田市に向かった。
検索で調べた情報によると、上田こそがあんかけ五目焼きそば文化の中心地であるらしい。

と、昨夜の悩みは無かったかのように書いてしまったが、実際にそういう気持ちだった。
「まあいいや、なんとかなるだろう。」
そう強く信じることによって、昨晩の悩みを解決へと導いたのである、自分自身の中で。


上田市は城下町なので、歴史を感じる建物や
蔵が普通に利用されていたりしました

とりあえず、食おう

上田市の町並みがきれいだったので、悩みを忘れたことにしていることも忘れることができた。
ホテルの朝食おにぎりサービスも採らずに出発したのでお腹がすいた。
上田でも一位二位を争う五目焼きそばの有名店に向かおう。


おいしそうなお店っぽい感じのする福昇亭さん

店内は、平日のお昼前だというのににぎわっていた。
僕が入ってからもどんどんお客さんがやってくるところを見ると、間違いなく有名な店なようだ。
メニューを見ると、いちばん最初に五目焼きそばがある。


メニューのトップにありますね、五目焼きそば

まず小皿が出された
あらかじめこの皿に酢とカラシを混ぜておくそうだ

いい気分になってきた

五目焼きそばを注文すると、まず白い小皿が運ばれてきた。
この皿で、テーブルの上にあるお酢とカラシをあらかじめ溶いておくのが流儀だとのこと。
こういう「ちょっと特別」があるととてもうれしい。
すっかりいい気分になって、焼きそばの到着を待った。


 

 
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