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フェティッシュの火曜日
 
ボロ市でボロを買えなかった


〜買えない大北〜

ところで自分の目的だ。取材に同行した目的は今年の年末に当サイトの動画コーナーで企画している時代劇の衣装を買うためだった。ボロ市でボロを買う。これほどボロ市に適した目的もないだろう。しかし買えなかった。これはボロ市でなく自分が悪い。


着物がなければ時代劇が撮れない。だが買えず。

ボロ(着物)を買わんと時代劇が撮れん

買う、おれは買う。時代劇を撮るんだから着物を買う。なけりゃあ裸の時代劇だ。何時代でも通用してしまう危険な時代劇になってしまうのだ。

それくらい意気込んでいたのだが、着物を見始めて1件目でああこりゃむりだとあきらめた。数が多すぎるのだ。こりゃあれだ、古着を求めてアメリカ村を一軒一軒周るあれだ。どれもいいっちゃいい、あとは自分の好み次第、となったときに選択肢の多さがやる気をごっそり削ぎ落とすあれだ。


これなどぴったりか、しかし買えず。
安い!けれど買えない。
む、これは!?(買えなかった)

「これ何するものだと思う!?」知らない!けどほしい!結局買えず!

買えないのは自分の問題だ

狸のリアルな剥製8000円、仏像のお面4000円。「いいなあ、これ。」と自分がこれと思ったものを見つけたときに、毎回声に出してることに気づいた。しかし買えない。けちんぼなのだ。でもほしい。人一倍ほしい。でも財布の紐は固い。

欲しいものだらけで心は高揚するのだが財布が固いのですべて冷やかし。「買うな、節約しろ」という内なる声は普段天使側なのだが、今日に限っては悪魔だった。苦しい。だが買い物は達成されないので、ずっと見て回れるのもたしかだ。この性分はボロ市に対して最も向いているのか最も向いていないのかどっちかだと思う。そして今は愛憎入り混じった気持ちで買い物を続けるしかないのだ。


だがそんな折、499円の天狗面を見つけた。「全部買え…」内なる声が聞こえて天狗の面3つ購入!
む!?千円!?続いて、カメラがとらえきれないスピードでこけし購入!

そして勢いに乗ってはやボロ市外の普通の店でガスファンヒーターも購入!

戦利品。という気分だったがこの写真を見てそりゃ言いすぎだと思った。

数をこなせばようやく買えた

天狗の面、一枚499円。これが500円なら躊躇したかもしれない。そんなけちんぼにも配慮した値段設定が功を奏しようやく僕の財布の紐が緩まった。

コツはとにかく安いものを1つ買え、と。世の中のけちんぼさんがボロ市を楽しむには財布の紐の緩め方がポイントだ。そして一旦緩んでしまえば、こっちのものだ。

着物は買えなかったがガスファンヒーターなんて高額商品を買えた。これで時代劇はどうなるかわからないが、部屋はぬくぬくだ。こんな買い物下手でもボロ市を満喫できた。問題といえば腰が痛いことくらいだ。下ばかり見てるので辛いのだ。


ボロ市内の座れるお店に入るなり腰に手をそえ折れ曲がった高瀬さん

〜買う楽しみを覚えた二日目〜

この後、腰を痛めた高瀬さんがあたしゃよう書かん、とギブアップを宣言したので、記事を書くことになった。どうしよう。せめて代官餅くらい食べられれば記事に格好がつくなあ、と思って急遽もう一日参加することにした。


確実に他人同士の会話が増えてる

ボロ市おかわりだ

明るいうちに来ると高齢者の方の割合が増えていた。「青森から来たんですねー。」「毎年ここでやってるわよねー。」「ねぎ買ってきたのよ、ねぎ。」そして昨日きた夜よりも、店の人や電車で乗り合わせた人、傍から見ても知らない人同士の会話が増えていることに気づいた。

「これいくらするのかしら?」「一万円?そんなにするの?」「それじゃああたし年金がなくなっちゃう…」と聞こえてきて可笑しいなと思ったら周りの人も笑っていた。買い物がちょっとした劇場になるこういう瞬間は、見ていてなんだか微笑ましくなる。


でも何に一万円するんだろうなあ、と見たら、え!?これが一万円したらそりゃ年金もなくなるわ、と驚いたかばん。

「犯罪から足を洗う」刑務作業品はスニーカーなどの汚れ落としに最適だそうです。わが家で只今活躍中。

これが買い物の楽しみか…

横須賀刑務所産の汚れ落としを買った。何するものかわからなかったが、コピーがすてきだった。「これ一年もつよ、それで汚れも落ちるんだからすごいよねえ。」うん、すごい。

お店のおじさんが言うにはこの刑務作業製品はどれも人気があって、府中刑務所の味噌などは一瞬で売りきれるそうだ(この味噌がうまいというのは有名だそうです)。

「今日なんか、一人でこれ24本買ってっちゃった人がいてさあ。」え!?24本!?そりゃすごい。24年分だよ、と思って「えっ!24年持ちますね。」と言うとあははは、24年だって、と周りのおばあちゃんたちから声が上って、ヤバイ!と思ったら「うまいこと言うねえ。」と褒められてしまった。うっかりあの劇場に上ってしまってとても恥ずかしかった。


この輪の中心となって、喝采をあびた。これが「ウケた」という気持ちか。たしかに恥ずかしいが得意にさせてくれる何かがある…!!

今日は古銭を買えた。あと汚れ落とし。
あとは昨日買えなかった名物の代官餅をレポートしてようやく終わりだ。二日間ごくろうさまでした、おれ。あとボロ市の人達。

ガーン!!(午後三時)


ふかしたてのボロ市まんじゅうも売ってます。これもうまい。

二日行ってわかったのは、ボロ市は日中がおすすめだということ。おばあちゃんが多いので、全体に会話が多く活気もある。買い物をするときのやりとりが普段しないような会話なので別の脳にスイッチが入るエンターテインメントだ。

商品もたくさん残ってるし、多分代官餅も早い時間はある。そしてうまいのだろう。ああ、うまいのだろうなあ。そりゃうまいんだよ、多分、売り切れてるのだから。1月のボロ市に行く人は早い時間に行って代官餅食べてくださいな。

 

 
 
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