上陸します
調布飛行場を離陸してから約30分、衝撃のフライトにもようやくなれてきた頃、眼下に絵に描いたような島が見えてきた。いきなり崖から始まるとても特徴のある島だ。そう、あれが今回のドラマの舞台となる新島なのだ。
正直「ちょっと見てきて」の「ちょっと」の部分をかなり拡大解釈してしまった気もする。ずっと見に行かれていなかったのはこのあたりをちゃんとみんな理解していたからなんだなと思った。
とにかく着いた。空港を出るとすぐにサーフィンの像に出迎えられる。ここ新島は一年通して良い波がくるということでサーフィンの世界大会が行われたりするらしいのだ。
僕もサーフィンは好きなのでぜひ海に入りたいものだ。二箇所の見てきてがそれぞれスムーズに見つかったら、もしかしたら時間が作れるかもしれないぞ。
期待を胸に、足早に「見てきて」探しに行ってきます!
一件目はアメリカが見える丘公園
最初の「見てきて」はアメリカが見える丘公園。
いい名前の公園だ。投稿を頂いた方が先に「アメリカは見えませんが」と書いちゃってるのもいい。ならなんで見える、って名前なのだろうか。見つけ出してそのへんを追求したい。
で、どこにあるのだそれは。
新島のすごいところは空港を出るといきなり何もないところだ。さっき見たサーファーの像以外、人影もない。バスもタクシーもいない。
頂いた投稿を見ても、周りに何もないのがわかる。というか道すらもない。
いま僕の周りに生き物は高いところで飛んでいるトンビだけだ。
空港を出てから誰にも会わないのもすごい。GPSで現在地を確認できるのだが、なにしろそこへ行くための道が表示されない。加えて自分撮りをするために持ってきた三脚が壊れて首がかっくんかっくんしている。たたみかけるように不安ばかりが押し寄せる。
音を頼りに見つけた工事現場で第一島民を発見した。すごいうれしい。でもアメリカの見える丘公園の場所を聞くと「公園なんてねえよ」って言われてしまった。
しかし公園はないけど「アメリカの見える丘」という場所ならある、とのこと。「ああ、すぐだよ。歩いていける」とおじさんは教えてくれた。人恋しかったのと逆光だったのが相まっておじさんが菩薩に見えた。
菩薩おじさんの指示に従い、海に向かって歩く。
歩く。
歩く、歩く。
「すぐだよ」って言っていたから、あわてずに歩いた。
しばらく歩くと海が見えてきた。飛行機から見たとおり、ここは崖に囲まれた島なので海岸は遙か崖下にあるのだ。津波注意の看板を見るとここは海抜24メートル地点らしい。つまりこの崖、24メートルあるのだ。
菩薩おじさんは「海が見えたら海岸沿いに北へ向かって歩くと途中に入り口があるからさ」って言っていた。
今僕はその言葉だけを頼りに一人森の中を歩いているわけだ。
海岸線のすぐ脇の道を歩いているので波が砕ける音が地鳴りのように響いてくる。ずーん、ずーん。遠くには山が見えるし、僕の上にはさっきからトンビがとんでいる。
どこだここは。
右にそれる道、それだけを探してひた歩く。が、どうにもそんなの見つからないのだ。もちろん地図にはなにも表示されていない。すでに来た道を3往復くらいしている。・・と
おー!
獣道みたいなのがあったよ、おじさん。これ、方向的に海に向かって続いているっぽい。まさかとは思ったが、他に手がかりもないのでひとまず身をかがめて入ってみることにした
すると・・