そうなのだ。自分で言うのもなんだが、この甘くないカントリーマアムはかなり美味しくできた。
バターの乳成分と塩気と粉のバランスでか、入れていないのにチーズっぽい風味がある(通常お菓子作りに使う無塩バターではなく、有塩のバターを使いました)。
宮城さんも一瞬のショックをやり過ごしたあとは「あ、芋が入ってる! 芋だ! お芋だ!」といって美味しく食べてくれていた。本当によかった。
絶望は羊羹の方に
カントリーマアムではなく絶望はむしろ羊羹の方にあった。
実は、宮城さん以前に私があんこを作る段階で「甘くないあんこ」というものに絶望してしまっていたのだ。
煮あがった砂糖抜きあんこを試食した直後に「甘くないカントリーマアムに絶望する」と言った宮城さんの気持ちが痛いほど分かった。だって、あんこが甘くないのだ。あんこが……あんこが……! 子どもだったらきっと泣いていると思う。
羊羹として固めたあとも、不味くはないのだがとにかく豆の味がガツーンと突き抜けていくばかりで食べれば食べるほど寂しくなる。背中から吹いてくる風が、あばらを抜けて行くような感じだ。変な例えが出てしまったが、それぐらい、寂しい。
引き続き、この不思議な羊羹もお2人にも試食してもらった。カントリーマアムの方が美味しかったこともあって、2人とも楽観的だったのだが。 |