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ちしきの金曜日
 
「般若心経」をかなフォントにする

個人的に「は行」がお気に入りです。

「般若仮名」五十音対応表

複数候補があった音は、個人的に「最も般若心経っぽい」と思う漢字を選ばせてもらった。例えば「薩」と「切」なら、『薩』だ。「し」は候補が22文字と多く、最激戦区となったが、かなり悩んだ末、最終的に『照』を選ばせてもらった。異論はあるだろうが、あまり細かく突っ込まないで欲しい。

余った文字で使えるものは濁音・半濁音へと転用したが、逆にいくつかの濁音では清音と文字が共通している。
例えば「へ」なんて、「べ」も「ぺ」も『減』になっているが気にしないで欲しい。百人一首じゃ「瀬々の網代木(せぜのあじろぎ)」も、「せせのあしろき」である。
強引かもしれないが、それを言い出したらそもそもこの挑戦自体が強引なのだ。

さて次。作業はフォントファイル作成に向かう。

フォント作成ソフトに切り貼り

お経に見えますが、これが般若仮名の「あいうえお」

地道にフォトショップで画像加工。

写経見本のかっこいい字体を生かすため、スキャナで取り込んだ画像を加工してフォントを作成した。用いたソフトは『まるで手書き』。このソフトでは、自分で書いた文字や入力した画像を、新しいフォントとして直接登録することができる。
モードを「ひらがな・カタカナ登録」にして、さっき完成した「般若仮名」五十音対応表に従い、漢字を「かな」として登録していった。
最後に完成した画像(左)を「ひらがな・カタカナ」だとしてソフトに強引に読み込ませれば、「般若仮名」の完成となるのだが、読み込み処理にけっこう時間がかかった。その間にひとブレイクはさむことにしよう。


この部分ですね。ぎゃーてーぎゃーてー。

コラム「般若心経には何が書かれているのか」

ここで般若心経ワンポイント豆知識。般若心経には仏教の最も大切な教えが書かれており、釈迦が悟りを開く上で最も大事とした「真言」についての要旨が記されています。
また、般若心経でとりわけ印象的なサビとも言える部分、幼少時、おじいちゃんに何度も暗唱させられた部分である、
「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」
(ぎゃーてー ぎゃーてー はーらーぎゃーてー はらそうぎゃーてー ぼじそわか)の箇所はサンスクリット語に漢字の音をあてはめたもので、
「ガテー ガテー パーラガテー パーラサンガテー ボーディ スヴァーハー」
(智慧よ、智慧よ、完全なる智慧よ、完成された完全なる智慧よ、悟りをもたらしたまえ)
という意味らしく、実はなんだかすごくかっこよかったのだということを初めて知りました。
以上、ワンポイント豆知識でした。

おや、フォントのほうが完成したみたいですよ!

「般若仮名」フォントファイルの完成!

完成した「般若仮名」フォント。
さっそくこれを指定フォントにしてWordを打ってみると……


変換前から漢字! 悟れる雰囲気満々!


上から順に、般若仮名で、
「これがはんにゃがな」 
「きてきて」
「ねばねばのやまいも」
と書いてある。「ぎゃーてー」でも「ねはん」でも無い。ただのかな文字なのに想像以上の経典っぷりだ。どんどんこれで日本語を書き替えてやりたくなる。
そこで次に、ひそかに正楷書体でも作成した般若仮名を用いて、ひら・漢字混交文に般若仮名を適用してみた。


文章は僕のブログのQRコード篆刻の記事


ばかばかしさが取り得だったQRコードの記事が一気に神秘的な記事になる。大宇宙の根源原理を表す印章が発掘されたニュースのようだ。

ここまで首尾は上々。般若仮名、なかなかいい感じに僕のPCライフを仏教哲学の世界に連れ込んでくれる

この勢いで、町で見かける日本語たちもどんどん般若仮名に書き替えていこう。

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