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ひらめきの月曜日
 
マイ鎧で混ざる「信玄公祭り」

ついに一体化が成功か


楽しそうな若者の鎧たち
くつろぎの鎧

なんとなく離れることができないまま、隊の集合場所に留まってみる。移動までまだ少し時間があるのか、仲間同士で楽しく話したり、飲み物を飲んでくつろいだりする鎧の姿があちこちで見られる。

 そう、辺りは鎧の人たちだらけ。それでもなじめない自分。決して異質な集団にいるわけではないのに感じる孤独こそ、より深い物がある。

 もう一歩踏み出して、なんとかならないものだろうか。


さあ、点々と座る鎧たちの間に…

飛び込んだ!

おお、混ざってる混ざってる。これはなじんでると言ってもいいんじゃないか。

 距離を置いて座っていたソロ鎧の間に混ざって座る。両隣の人から一瞬「なんだこいつ」というような視線が刺さったような気がしたが、「ああ、鎧か」と納得したのか、それはすぐにそむけられた。やっと見つけた自分の居場所。

 …いや、そうじゃないだろう。求めていたのはこういう混ざり方じゃないだろう。

 虚飾の達成に葛藤していると、こちらに近づきながら「もしかしてそれ、自前ですか?」と話しかけてきてくれた鎧がいた。


記念写真の決まり具合があまりにも違って落ち込む

これはうれしい。「ええ、そうです」と答えると、「どちらで買いました?」と、さらなる質問で弾む鎧トーク。

 「ネットで見つけて注文しまして…。確か九州の方の会社だった気が…」と返答すると、「あっ、じゃあ○○さんですね」との言葉が続く。どうだっけ。正直なところ忘れてしまったのだ。

 「そうだったかもしれないです。でも、どうして自前ってわかったんですか?」と少し話題を変えると、「やっぱり、違いますよね」との答え。

 そ、そうかな。同じ鎧だと思うんだけど。その場ではそう思ったが、写真を見て納得。なんか違う。決まり具合が全然違う。やっぱり刀ほしいな、という小物レベルでなく違う。端的に言えば、浮いてるということだ。

 そのあとも鎧や祭りについていろいろ教えてもらって別れる。自分を見つめる機会になりつつも、話ができたのはやはりうれしく、落ち込んでいた気分から元気になってきた。


いざ、混ざるぞー!

よし、元気をもらって、もう一度隊に混ざる勇気が湧いてきたぞ。時間が迫ってきたのか、そこかしこから勝どきが聞こえる。そのうちの一つ、移動を始めた隊にミキシングトライしてみたい。


いくぞ、いくぞ

はい混ざったー

よっしゃー! これなら混ざったと言っていいだろう。

 隊のしんがりを勤めるべく、最後尾にミックスダウン。10mくらい一緒に歩き、戦線を離脱。あくまで孤独な狼のお戯れだ。それでもやっと、隊に一員になった実感を得ることができた。

 さあ、目的も達したので鎧を脱ごう。一緒に心の鎧も脱いだ気がして、ここからはあくまで一般人として観光を楽しもうではないか。


すごいねえ
かっこいいねえ

やはり本格的に行列が始まってからは本気度も観衆の興奮も違う。さっきのうちにちょろっと混ざっておいて本当によかった。やっぱりみんなかっこいい。

 なんのしがらみもなく鎧の人たちをたくさん見ることができてうれしい。僕はもう自由なのだ。

夜になってかっこよさ倍増

辺りが暗くなって、いよいよ祭りのムードも高まる。こんなところにとぼけた鎧が登場する幕はないので、カジュアルなうちに混ざろうとした読みは正解だった。

 企業や自治体が隊を組んで参加するこの「信玄公祭り」。それ以外にも一般の参加も受け付けているらしいので、本気で混ざりたい人は、ちゃんとした手続きを踏んで参加するとよいと思います。


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