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ちしきの金曜日
 
中古車屋の派手さを鑑賞する

ここにきわまれり「擬擬木」

花輪、万国旗。そしてこの「擬擬木」を目にしてぼくの中古車屋めぐりの興奮は最高潮に達した。


たぶんかつては樹木をイメージしていたのだと思うが。色からして自然の恵みとは関係のない独自の路線に。

もはやあらぬ境地に達してしまっている。完全に樹の神様の管轄外だ。

赤が混じるととたんに古い商店街っぽくなるのはどうしてか。 南国風デザインもある。いや、ほんとにこれは南国風なんだろうか。

「擬擬木」とは、これもぼくが勝手に命名したものだ。「擬木」とはほんらい木材でない素材で作られた、木を真似たものを指す。しかし、中古車屋さんのこれらは、木を真似る、というより「擬木を真似る」という2周目に入っているように思える。だから「擬擬木」だ。いや、もしかしたら「擬擬擬木」ぐらいかもしれない。

そして、注目すべきは上の写真最後の南国風のもの。いわば「椰子の木風擬擬木」とでもいうべき作品だが、これが多く見られるのだ。


上のものの色違い。これはまだ紅葉したのだと解釈もできるが…(椰子の木は紅葉しないとは思うが) 眼を惹きさえすればよい、という方向性をまっとうした結果、木にあるまじき色彩に。擬擬木の面目躍如である。

南国風擬擬木の極北。トロピカルの一人歩きだ。というか南国風なのに極北とはこれいかに。 もはや木を真似ることを完全に忘れ、のぼりの一種と化した作品。すばらしい。

上の写真のように、木モチーフだかのぼりだかあいまいになっている例も多く見られる。

下は逆にのぼり方面からのアプローチが擬擬木に近づいている例である。興味深い。今後の研究が待たれる。

原点回帰か。それよりなぜ中古車屋さんが南国に憧れを持っているのかが気になる。

擬擬木か、はたまたのぼりか。中古車屋鑑賞界でも議論百出の作品である。

これなんかも、もはや擬擬木に見えてくる。

 

構造は箱庭、そこにアイテムをちりばめる

さて、以上「のぼり」「花輪」「万国旗」「風車」「擬擬木」が中古車屋さんにおける主要デコアイテムであることが分かった。

さいごに、全体の構造についてみてみよう。1ページ目で「箱庭」と書いたのがそれだ。

こんなことに気づいたところで何の役にも立たないのだが、中古車屋さんらしさとは、構造的には敷地の道路と逆の側(つまり後ろ)に壁を巡らせ、道路側にはポール、あるいはゲートのようなものを立てる点にある。

通常敷地に建物が建つのに対し、中古車屋さんは敷地の境界に壁を立てる。つまり箱庭の状態だ。これはガソリンスタンドの構造にも似ている。ただし、ガソリンスタンドは防災上壁が求められるのに対し、中古車屋さんの壁は「目立つため」に存在しているのが面白い。


壁を立て、地面に色を塗り、アイテムをちりばめる。ぼくが箱庭療法を受けることがあったら、中古車屋さんを作ろうと思う。

そしてその箱庭に前出までの各アイテムをちりばめる。そうしたら中古車屋さんのできあがりだ!

 

 

あ、あとクルマね。

今後も鑑賞を続けていきたい

今回中古車屋さんを見て「なつかしい」と思ったのは、中古車屋さんにおけるアイテムが全く進化していないからだと思う。花輪なんてねえ、もう21世紀入って9年目だよ。

考えてみればほかの業界の店舗にくらべ、派手でありながらここまで変化がないのもめずらしい。

さらに興味をひかれたので今後も中古車屋さんめぐりを続けていこうと思います。免許無いけど。

見渡すかぎり中古車屋さんしかみえない道路。大興奮でした。【誰も求めてないと思いますが画像クリックすると大きくご覧いただけます】


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