よくボクシングなんかで最初にグローブ同士を合わせるのを真似して、ちょこんと剣を出してみた。しかし残念ながら相手には伝わらず、逆になめられたと思ったのかすごい勢いで突っ込まれ、まず1ポイント奪われる。
どうやら相手はさっさと試合を終わらすつもりらしく、試合が再開するとすぐに突きを繰り出してきた。小学生の頃に流行った「六三四の剣」という漫画で、主人公の父親が剣道の試合で亡くなったのが突きによる攻撃である。
剣を持った人間が顔を狙って突っ込んでくるというのは怖いもので、相手が来ると同時にバックステップで逃げ出したためにマスクに当たったか当たらないかという程度だったが、これが有効な打撃なのかを考えるよりも早く、口から敗北宣言がこぼれ出た。
いろいろな意味で騎士道失格である。
でも必要以上に怖がらなければ楽しめます
このようにトーナメントは二人揃ってさんざんな結果で、もう二度とやるもんかと誓い合った。しかし休憩時間に猛者達が誘っくれたのでちょっと相手をしてもらったら、これが意外とおもしろかったのだ。
一回試合をやってみたことで、ソフトソードで思い切り切られても、丸めた新聞紙で殴られた程度の痛みであることを理解したので、それほどビビらずに挑むことができたのが大きかった。バンジージャンプだって紐がついているということを体で理解すれば、二回目からは楽しめる。
また練習相手が講師やベテランさんだと、こっちの実力にあわせて攻撃してくれるので、きわどい攻防をやっている気分になれて気持ちがいい。まさに接待剣術。 |