デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ひらめきの月曜日
 
富士下山道の「砂走り」を体験してきた

感動の登頂、そして待望の砂走りへ

ここまで約1300mの標高差を登ってきた。山頂までは残りわずか約450mである。ここまで来たら登れたも同然だから、ここで降りてしまおうか? なんて友人と軽口を叩きあっていたら、近くにいた外国人がまるで同じギャグを言っていておったまげた。どこの国にもしょうもないことを言う人間はいる。


こんなのとすれ違ったり
ことさらに疲労感をアピールしてみたりしながら

そうこうする間に山頂を示す鳥居が見えてきた
…感無量

そしてやっとこさ登頂の瞬間が訪れた。酸欠による頭痛、めまい、足腰の痛み、全ての苦労が報われる。登頂時刻は13時30分。予定より1時間30分遅れてしまったが、久しく味わっていないタイプの達成感を得ることができた。

正確にいえば日本最高地点は、登山道のゴール地点から火口をぐるっと周った裏手にあるのだが、富士山へのアタックは以上にて終了とした。あくまで今回の目的は下山道。「砂走り」にあるのだ。


日本最高峰の景観

そんな感慨もそこそこに下山道へ

砂走りは七合目太陽館の先にあるという。順調に行けば1時間程度で到着するだろう。

しかし足が重い…

自らの体重がもろにかかる下山道では、踏み出す一歩がより重く感じられる。加えて、なかなか目指す砂走りまでたどりつけないストレス。ここにきて疲労感がウナギ登りに蓄積しはじめる。

歩けども歩けども、たどりつかない。

じつは砂走りなんて場所はそもそもなくて、それは何か一種の忍法みたいなものなんじゃなかろうか。そう思い始めたとき、踏み出した一歩がズボっと地面に沈んだ。この感触。ここが砂走りに違いない。


足元まで地面にもぐる
じっさいに走っている人もいる

時刻は16時。苦節12時間の末にたどり着いた砂走り。一気に駈け下りたい気持ちもあるが、体はすでに疲労困憊であった。

残り5パーセントくらいの、カラ元気を振り絞って駈けてみたのが冒頭の動画なのだ。


せっかくなのでもう一度

それでもなお、3パーセントのエネルギーが残っていたので、いま一度長い距離を駈けてみた。

こけました

じつはこの直後、派手にすっ転んだ。ちょっとした衝撃映像なので、その部分をお見せすることはできない。

地面が柔らかい砂とはいえ、砂走りには大きい岩石も散らばっている。転倒すると非常に危険な上、他の登山客を巻きこむ恐れもある。いつでも立ち止まれるくらいの速度で下りたい。

結局は怪我もなく無事に下山できたわけだが、転倒の後の砂走りは牛歩の速度で降りてきたことは言うまでもない。

転倒した筆者の脇を軽快にすり抜けていく登山者たち

< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.