日本人なのに「ラブ」を繰り返す
いろいろと犬が怖いを克服する方法を考えていたのだけれど、実際にラブを借りたらテンパってそれどころではなかった。もちろんレンタルされる犬だから「座って」とお願いすれば座ってくれたりするけれど、なにせ怖いものだから、なかなか距離が縮まらない。
ラブが僕の行きたい方向でないところに行こうとすると「ラブ、違う」「ラブ、そっちじゃない」と僕は叫ぶ。逆になぜか僕に近寄ってくることもあるので、「ラブ、怖い」「ラブ、離れて」と僕はラブと繰り返す。この日の僕は、まるで夜中に書いたポエムのように「ラブ」を連呼していた。
犬が怖くない方法が分かった
今回ラブを3時間かりたのだけれど、2時間が過ぎたところでラブが疲れてきた。そりゃ人間だと40歳なのだから疲れて当たり前だ。すると、今までの反抗的な間違ったちょいワルがあらためられ驚くほどおとなしくなった。
今までも寄り添ってくることはあったのだけれど、今までのそれとは違い、寂れた街に住む生きることに疲れ果てた犬のテンションで寄り添ってくるのだ。本当におとなしい。人間で言うと「プールの授業のあとの古文の授業」の時のテンションだ。だから、さすがに怖いという感情は消えた。
どの犬もこの状態だったら僕は犬を怖いと思わないだろう。ただ、もし犬が常にこのテンションだったら愛犬家は減ると思う。なんだろう、ラブだけかもしれないが疲れたこのテンションでは猫に近い感じなのだ。
この後もラブは疲れているようで、べったりと寄り添うように僕の横を歩き、レンタルしたお店に戻った。犬を怖くないと思ったのはこの時が初めてだ。犬がみんな常に疲れていればいいのにと考えてしまった。 お店に戻って店員さんにリードを渡し、部屋に戻るラブの後姿を見ていると少し寂しかった。
犬が疲れていればいいのだ
僕の場合、犬は疲れていれば怖くないということが分かった。疲れていると走り周らないし、噛むようなこともない。犬のかわいい部分だけを存分に楽しむこともできるのだ。
問題は疲れていない時なんだよな…と。これは今後解決していかなければならない。僕は決して犬が嫌いなわけではないのだ。むしろ好きなのだ。でも、怖いのだ。好きだから別れるみたいなことなのだ。