ある意味ローカルフードなチェーンと別業態

このページではまず、筆者が住む埼玉県を中心に展開しているチェーン店を紹介したい。

その店の名は「山田うどん」。関東地方の一都六県での展開なのでご存じない方も多いだろうが、本拠地である埼玉の県民にとってはおなじみの店だと思う。

きっとどこの地方にも同じような立ち位置のチェーン店があるのではないだろうか。店舗数としては150〜200ほどあるようなので、結構な規模のチェーン展開だと言えよう。

シンボルマークは看板やマークにあるように、かかし。それは一部のメニュー名にもつけられていて、例えば「かかしカレーライス」などがある。

「山田うどん」という店名からわかるように、メインメニューはうどんなのだが、気になるメニューはそれ以外の部分に多い。「メンチカツ丼」の微妙なずれ具合もいい感じだ。

今回注文したのは「パンチセット」なるメニュー。名前だけではどんなものが出てくるかさっぱりわからない、概念的なセットメニューだ。

「パンチ」の正体は、モツ煮。パンチは例えで言っているわけではなく、単品メニューでも「パンチ」となっていることからわかる通り、山田うどんではモツ煮のことを「パンチ」と呼ぶことにしているようなのだ。

モツ煮＝パンチ。正直、しっくりこない。埼玉県民の共通認識という程にも浸透していないと思う。

でもそんな微妙な気持ちで食べたとしても、臭みのないパンチはやわらかくてとてもおいしい。普通のモツ煮に入っているのを見たことがない、メンマ的なタケノコが入っているのがオリジナリティーだ。

パンチを食べたらちょっと甘い物がほしくなったというニーズにも、山田うどんは答えてくれる。「かかしデザート」がそれだ。店舗のシンボルがかかしだということを知らなければ、相当わからない名前のスイーツだ。

白いプルプルしたものにチョコやブルーベリーのソースがかかったこのデザート。プルプルの正体は実は豆腐。

すでに店舗で揃えている食材を活用してデザートを提供しようと考案されたものだろうか。今回はブルーベリーの方を注文してみた。食べ物の味を文で表現するのは難しいが、今回は「豆腐にブルーベリーソースがかかった味」と、きっぱり言い切ることができる。

確かに食後のさっぱり感はある。「なくはないね！」という感想がぴったりと浮かんできた。

そして、この山田うどんを展開する会社の別業態店がこちらだ。現在５店舗しかないようなので、レアリティは高い。

「かかしラーメン」である。シンボルを具体的な店名にフィーチャー。埼玉県民ならその店名とマークとで、「あー、山田うどん系？」となるのではないかと思う。

ラーメンをメインとして、中華系のメニューが並ぶラインナップ。山田うどんにおける「パンチ」といった独自性の象徴となるようなメニューはないが、わざわざ「卵焼き」というメニューがあるのは少々珍しいのかもしれない。

うーん、できるだけ変わったメニューを頼みたかったのだが。ここは普通に食べたいものを注文しようか。

迷ったのだが、机上のポップでおすすめされたタンメンを注文。「塩味最高！」という押し方に、「タンメンについては他にあまり言うことないよね」という共感を覚えた。バックの丸ごとキャベツも味わいがある。

やってきたタンメンは、これでもかとアツアツでうまい。ものすごい熱さのためにできたて感が強調される。ちょうどいい火の通り具合の野菜、特にハクサイがおいしい。

そう、ハクサイなのだ。はっきり言って、キャベツ入ってない。

えー、じゃあ、あの丸ごとキャベツの写真は？となるところだが、全体的なおいしさと個人的にタンメンにはハクサイ派ということもあって気にならない。むしろウェルカム。地味な意外性も楽しいではないか。

ああ、ずっと誰かに言いたかった地元のローカル店への細かいつっこみを書けて満足。次ページではまた大手チェーンの別業態店をめぐります。