いよいよ師走になりました。とはいえ陽気な年末気分には少し早く、ただ今年が暮れてゆく物悲しさだけがつきまとうような日々。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
東北の小さな町では、秋の虫たちの声もすっかり消え失せ、枯れ葉さえ落ちきりました。外にでてもみつかるのは冷たい風の音ばかりです。いっそ雪でもあれば少しはマシなのでしょうが、今はただ灰色の景色が広がるだけ。「なにもない季節」だと、そんなふうに思えてきます。
でも、ほんとうになにもないのでしょうか。ぼくら自身のほうが心を塞いでしまい、なにかをみつけようとしていないだけではないのでしょうか。
(櫻田 智也) |