贅沢品を身につけていると心に余裕が生まれてくる。おかげでマスターとの会話もはずむが、その一方でマスターがカウンターにきた際には、左手を隠すという作業も必要で(上の写真でも指輪をつまんでいる)なかなかに忙しい。
なにしろ今後も変わらぬ付き合いをつづけるためには、ぼくがセレブであることは知られないほうがよいのだ。
……と、上手にやっていたつもりだったのだが、マスターから、ふと発せられた一言、
「ところでさっきから腕につけてるソレはなんなんですか」
によって、ぼくはセレブらしからぬ汗をかきながら真っ赤な顔で「なんでもないんです」を連発したのだった。 |