第三試合・980円の吸盤
さて、最後の大物、一つ980円の吸盤である。職場のスチールデスクやロッカーなんかを動かす時に、取手として使用する物らしい。パッケージには40キロまでOK!というようなことが書いてあった。相手にとって不足なし、である。
00:11 不正なく設置 00:15 もう逆手も手慣れたもの 00:20 足バタバタさせて耐える 00:27 けどもうダメ、落ちる 00:30 ああっ! 00:31 考え込んでしまう 00:38 釈然としない歩きかた
ここに至るまでの連戦に、腕がもう限界になっていた。そこにきて「40キロまでOK!」の威勢のいい吸盤の登場である。正直、全くびくともしないのでは…と考えていたのだが、意外とあっさり落ちた。だが…なにか釈然としない。
1個25円の吸盤では、あっさり落ちてしまうのもなんとなく仕方がないような気がする。しかし、その他の吸盤もいくらなんでも早く落ち過ぎではないのか。ここに来て、だんだんとその辺りの不自然さに気づきはじめてきた。
しかし、わき上がってきた疑念以上に、「これならハンデつければおれにも勝てる!」という勝利に対する執着心が強かった。勝利への執着は、ときに人の目を曇らせてしまう。だから勝負をしている男の目には、とくに何も見えていないと思う。かくして、この件の不自然さに関してはさほど検討せずに、ハンデを付けた本戦へと移行していってしまったのだ。
00:15 手早く設置 00:22 なんとなく様子を見ながら耐える 00:25 あ、あっさり勝った 00:27 僕も着地するものの 00:29 やっぱり… 00:30 なんか変だな、と思う 00:36 腰に手を当てて思索を巡らす 00:39じっと吸盤を見つめる
なぜ吸盤がやたらとすぐ落ちるのか
ここでこの記事の1ページ目を思い出して欲しい。そもそも、僕は吸盤が家の中ですぐ落ちることに業を煮やして、こうして戦うことになった。それではその家の中で吸盤はどこに着けていたのか。
身体を張ってみて、初めてわかることがある
僕は「表面がある程度ツルツルしていれば、吸盤は木につけたって問題ない」そう思っていた。しかし、どうやらそうではない、ということがよくわかった。そして腕がパンパンだ。
「使えない吸盤に引導を渡す」つもりで始めたこの企画だったが、使用した吸盤は全部家に持って帰って、末永く使ってやろうと思う。
なんだか、えらく時間をかけてずいぶん簡単なところに戻ってきたような気がしますが。