やり過ぎ感あふれるアメリカンスタイル
最後に紹介するアメリカンパワーフードのメイン食材は、どこでも手に入る普通のフルーツだ。
リンゴである。これをメインにして作るお菓子、それは日本でも屋台などでおなじみのリンゴ飴。
夜店で並べられているのを見ると、なんとなく昔ながらの日本の素朴な飴菓子という風にも見えるが、アメリカにはアメリカ流のリンゴ飴があるらしい。
リンゴをコーティングするキャンディは、砂糖を水と合わせて加熱したものに、生クリームを加えて作る。こうすることで同じリンゴ飴でもキャラメルっぽく外国風になる感じがするのがわかるだろう。
しかし、それだけでは終わらないのがアメリカ。登場したのはカラフルな色がビビッドなm&m'sのチョコレートだ。
溶かしたキャラメル風キャンディをリンゴにコーティングし、固まらないうちにm&m'sチョコを貼り付けていく。
淡々と作業を説明してみたが、やってることは相当の違和感。それはないでしょう、と言いたくなるのだが、こういうものがアメリカには存在するのだ。
暴力のようなものすら感じさせるこのリンゴ飴。いや、もう私たちが知っているリンゴ飴ではない。どうしてこんなことに…と言いたくなるような物体がここにある。
本当にこんなものが商品として存在するのかと疑う向きもあるかもしれない。しかし実際に、このお菓子を作っている会社のサイトには商品として掲載されているのだ。
「ロッキーマウンテンチョコレートファクトリー」というお菓子屋さん。この店でこの商品はラインナップされている。(こちらから「CARAMEL APPLES」をクリックすると見られます)
しかしこんな商品があっていいのか。自由の国にも程があるだろう。もうその発想についていけてない。
まず、この物体が部屋に置いてあるのが変。一度目線を外して、もう一度視界にこれが入ってくると、そこにあるのがわかっているにも関わらず 「あれっ?」となる。自分で作っておきながら、その存在を脳が受け入れていないかのようだ。
さあ、食べるぞ!と思うのだが、どうも躊躇してしまう。普通にかぶりつけばいいのだろうか。ええい、行くぞー。
バリバリバリッ(チョコを噛む音) シャクッ!(リンゴをかじる音) パラパラ、カランカラン…(チョコが皿に落ちる音)
なんだこれは。
食べたときのリアクションからして無理がある。チョコのシュガーコーティングがバリバリと割れ、続いてリンゴの噛み応え。そしてぼとぼと落ちるチョコ。
一体これはなんなんだと思いつつ、冷静に口の中の味わいに注意を向けてみる。…これは、思ったより悪くない。
爆発的に甘いのはもうあきらめるとして、チョコの甘さと香りがリンゴの甘酸っぱさに混ざるという組み合わせは悪くない。好んで食べることはないけど、言いたいことはわからなくはない、という味かもしれない。
なんかすごく疲れた。
食べ物を食べると普通は元気になるはずなのに、今回一通りやってみたあとの自分はなぜだか疲れていた。うなりをあげるエネルギーに当てられたという感じだろうか。
今回作ったものをいっぺんに食べると、パワーを得るどころから逆に病気になりそうなので、少量ずつ取り分けて時間をかけてじっくり食べていきたいです。