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フェティッシュの火曜日
 
石器クッキング

ココナッツ対黒曜石

ココナッツのひげもすっかりとれ、あとは硬い殻を残すのみ。いよいよだ、いよいよ黒曜石が包丁としてやっていけるのかを試す時がやってきた。


そしていよいよココナッツに黒曜石が挑む、が、さすがに硬い!
「なあ、ココナッツもう地面で割っていい?」

ガシャン。

ココナッツの勝ち

「ムリムリ、絶対ムリ。これ石とかコンクリにガシャンってやって割るんだぜ?」そんなことを言っていた子供たち。黒曜石がココナッツに歯が立たないと見るや、そら見たことか、と割らせろの大合唱。

空気読めない。そんな言葉を一番恐れる私たちの悪いくせで、ココナッツを子供たちに渡してしまった。

いとも簡単にココナッツを地面で割った子供たちは落胆する私にさらなる仕打ちを。


「このココナッツ、カスだぜ、カス!ほら、汁入ってねえ」

「ほれ、カスをかげ!くさいだろ!」と子供。くそうございます、と私。

夢、ガンジスに還る

「これカスだからガンガーに捨てるけど、いいよな?」と子供たちがいう。河に物捨てるのは普通ためらわれるけど、ガンジス河はけっこうなんでもアリなようだ。


ガンジス河ってなんでも受け入れるんだなー

人生観が変わる?

火葬場で焼かれたお骨が流れていく。その傍らでは呑気に洗濯をしている。そんなガンジス河を見ていると人生観が変わった。こんな話が広まっているが、たしかに人生観は変わる。

私も黒曜石一本で料理人として独り立ちしていくというライフプランをあきらめざるをえなかった。


われた黒曜石はあぶないから片付けないと、とやってると

「おまえ!家へ帰れ!おれたちはクリケットをする!」と子供

彼らの興味は、石器からココナッツへ、そして早々にクリケットへと移っていたことに早く気づくべきだった

もう少し私をいたわってほしい

そんなにクリケットクリケット言わなくてもいいじゃないか、というほど、クリケットだ、クリケットするから家に帰れ、と言う。

私の家は、ここからまっすぐ行ってくれたとしても、飛行機で8時間くらいかかる。


これからはクリケットだ。そう確信した私たちはクリケットのバットを買いに行った。木製のバットは500円程度だった。

この後「お、クリケット。いくらで買った?250ルピー?おれなら120ルピーで買えるぜ!」と言われまくる

「いくらで買った?」とあまりにもしつこく聞かれるので「120ルピーだ」と答えたら「お…いい値段で買ったな」とインド人。どないやねん!

はい、黒曜石でココナッツは割れませんでした

ガンジス河に行くと人生観が変わるらしい。一体だれが言い出したのか、と思っていたがそれは本当だった。

今、クリケットが流行っている。少なくとも石器よりかは。これからはクリケットの時代だ、そう確信した私たちはクリケットのバットを買って日本に帰ってきてチームを作った。いつの日か、この子供たちをボコボコに打ち負かす。

メンバーは今のところ2人。ただしクリケットが何人でできるのか、私は知らない。

※最後になりましたが、この記事はデイリーポータルZをエイプリルフール仕様のデリーポータルZにするためインドに行ったときに撮影したものです


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