香ばしいキャロットティー
最初はキャロットティーを飲むことにした。ピーラーを使い人参を薄くスライスし、先に書いた手順でドライ人参を作った。人参は水分が多いため少々乾燥時に焦げてしまったが、これが結果として香ばしくよい結果を導いていた。
ドライ人参をポットにいれお湯を注ぎ数分待つ。強い匂いがするわけではないが、試飲会では3人全員がドライ野菜ティー初挑戦と言うことで、ファンではないがチケットをもらったので行ってみたJリーグ観戦のような興奮に包まれていた。
出来上がったキャロットティーはやはり人参という色をしている。飲んでみると生の人参の独特のクセのようなものが全くなくなっており驚くほど甘い。ほんのりこげたための香ばしさがまたいい。
キャロットティーは人参のよいところだけが出た感じだった。弟の彼女のマホちゃんが「お兄さん、美味しいですよ!」と興奮気味に言っていた。そして、今回はせっかくパティシエに試飲をしてもらったので、そのティーと一緒に食べたいケーキを聞いた。
春菊ティー
お鍋などに入れると、強めの匂いもあり絶大なアクセントととなる春菊。一般的なハーブティーはやはり匂いがポイントとなるので、春菊はかなりいけるのではないかと思い今回チョイスした。
お湯を入れた直後に発せられたマホちゃんの「金魚の水槽の匂いがする」と言う言葉が、さっきの美味しかったキャロットティーの勢いをすべてなくした。しかも、彼女は飲む前からえづいている。いやな予感がした。
飲もうと口にコップを近づけると確かに悪く言えば金魚の水槽の匂いがした。春菊のあの匂いがドライ野菜ティーではマイナスに働くようだ。しかし、よく言えば雨上がりの野原のような匂いだ。味は素朴な感じで自然の甘みがある。しかし、匂いがすべてを台無しにしており、マホちゃんは相変わらずえづき、弟はそれを見て笑っていた。
春菊ティーは決して美味しいものではなかったけれど、これと一緒に食べたいケーキは何かと無理やり聞いた。
オレンジティー
次は野菜ではないが果物のオレンジのティーを飲むことにした。使うのはオレンジの皮の部分だ。中身は水分が多いため、低温で乾燥させるならいいが、今回のような電子レンジを使った乾燥のさせ方では焦げてしまうため皮を使うことにしたわけだ。
これは不味く無いだろうと言うのが当初の僕の予想だった。この後に飲むのだけれど、一般的なアップルティーの作り方の一つに紅茶に生のリンゴの皮を入れるというものがある。皮だって十分なる可能性を秘めているわけだ。だから、美味しいだろうと思ったわけだ。
出来上がったオレンジティーはあまりオレンジ色をしていないのが少しがっかりだが、味はさっぱりとした奥ゆかしい甘みがある。僕と弟で「これは美味しいよね」と言っていたら、隣でマホちゃんが顔をしかめていた。「高山家(マホちゃんの苗字)はこれはムリです」と。こういう些細な価値観の違いが別れの原因になればいいのにと弟とマホちゃんの別れを僕は期待した。
マホちゃんは苦手な今回のオレンジティーだけれど、香りもいいし、奥ゆかしいあっさりとした甘みがある。そんなティーに合うケーキをパティシエに聞いた。