アップルティー
オレンジの皮のティーが高山家では受け入れられないということで、急遽リンゴの皮を使ってアップルティーを作ることにした。本来のアップルティーは先に記した通りだが、今回のアップルティーは純粋にリンゴの皮だけで作ってみようと思う。
微妙に微笑ましい光景が僕の前に広がっていた。この4月から二人は一緒に住み始めた。4年程の遠距離恋愛が成就した形だ。僕にとっては「今週のジャンプは土曜日発売だぜ」の次くらいにどうでもいいことなのだけれど、幸せそうで何よりだ。
中身はやはり水分が多いので今回は乾燥させなかった。弟の話では低温だとドライになるが、電子レンジだとキツいとのことだった。ドライリンゴをポットにいれお湯を注ぎ鼻を近づけるとリンゴのいい香りがした。どのドライ野菜ティーにも言えることだけれど、お湯を注ぐと匂いが引き立つ。
飲んでみると甘みがあり美味しかった。口に入れた瞬間はすっきりなのだけれど、後味がしつこいくらいに甘いのだ。カラメルソースを連想した。これは3人とも美味しいという意見だった。
ほうれん草ティー
先に書いてしまうと、このほうれん草ティーが今回一番評判がよかった。マホちゃんは売っていたら買うかもしれないと言っていた。また、ドライにさせるのも一番簡単で、焦げるようなことも無く一番気を使う必要がない野菜だった。
飲んでみると、匂いも悪くなく味もしっかりとしている。暗くなりかけていたこの試飲会がパッと明るくなった。抹茶が好きな人ならばまず間違いなく好きな味だと思う。「キングオブ和」という味なのだ。
マホちゃんは「ビタミンもありそうな味」と言っていた。味にうるさい弟も美味しいといい笑顔で言っていた。そうそう、こういう試飲会を期待していたのだ。僕もこれは美味しいと期待以上の味で驚いていた。
弟にどのケーキが合うか聞いたら「和菓子だね、それ以外ないよ」と英語の映画の吹き替えみたいな口調で言っていた。とにかく「和」を感じるティーだった。
レッドキャベツティー
色が綺麗だから乾燥させてもさぞ綺麗だろうとレッドキャベツをチョイスした。しかし、出来上がったドライレッドキャベツは弟たちに見せると「これ何?」と何なのか分からない状態だった。キャベツは水分が多いようで乾燥させると焦げてしまうのだ。
乾燥した状態のものを嗅ぐと「お好み焼きの匂いがする」と大阪出身のマホちゃんが言っていた。大阪らしい発言だと思いながらポットに入れお湯を注ぐと、さらにお好み焼き臭が二人の愛の巣に漂った。でも、お好み焼き味のラムネとかあるので、これはこれでありなのではないかと僕は期待した。
3人同時に「せ〜の」で飲んだら一瞬にして世界は静かになった。雲の流れる音が聞こえるのではないかと思うくらいに静かだ。ほうれん草ティーのあとだったからかもしれない。お好み焼きをホットプレートで作った後に、ホットプレートに残った焦げを食べているような味だったのだ。
一応弟にこのティーに合うケーキは何かと聞いたら「お好み焼き」と言っていた。キャベツの可能性をここまで殺せるのもすごいと皮肉交じりに言われた。僕も驚いた。罰ゲームみたいな味だった。