お相撲さんが優勝した時に、金屏風の前に座り、大きな盃でぐぐっとお酒を飲むシーンを見たことがあるだろう。 まさに勝利の美酒というかんじで、とてもおいしそうに飲み干している。 あの盃が欲しい。 僕も勝利の美酒を味わってみたい。
(工藤 考浩)
作ろうか
あの盃は大盃というもののようで、黒田節を踊るときなんかにも使うらしい。 ほしいな、と思って調べたのだが、買うと安いものでも4万円以上するようだ。 「ちょっと楽しそう」に4万円はさすがに高い。 ということで、自分で作ってみよう。
やっぱり木か
さて、ではどうやって作ろうかなと考えてまず思い浮かんだのは、木を削って上に漆を塗る方法だ。 大きな丸太を切り出して、そこからぐるぐると回しながら、ノミとカンナで形をつけてゆくのが、きっと本来の作り方だろう。 当初はそれで行こうかと思った。
しかし、木は高い
東急ハンズにいって材料を見たら、大盃が作れそうな木材はそれだけで本物の盃に迫る値段である。 こりゃだめだわ、ということで発泡スチロールで作ることにした。 ここで木を手に入れなくて本当によかったと、今になって思う。 発泡スチロールでさえも大変な苦労をしたのに、もし木だったらと考えるとぞっとしてしまう。 もし僕が木と漆で作る方法を選択していたら、それは「街で見かけるベンツっていうのがカッコいいから、鉄とゴムを買ってきた。さてつくるか。」みたいな話になるところだった。
発泡スチロール入手
ともかく、発泡スチロールの板を購入してきたので大盃の制作にとりかかる。 発泡スチロールの板を丸くくりぬき、二枚重ねにして作ってゆくことにした。 最初から厚い発泡スチロールを使うと、手持ちの発泡スチロールカッターでは厚すぎて切れないからだ。 定規と古いフィルムを使って発泡スチロールに円い線を下書きした。