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はっけんの水曜日
 
ご飯の中におかずを隠して食べる うずめ飯


茶葉と花を煮出す

ぼてぼて茶をWikipediaで調べると

茶碗に、よく泡立つように茶の花を入れて煮出した番茶を注ぎ、熱いうちに長めの茶筅で「ぼてぼて」と音を立てながら泡立てる。
泡立てたお茶の中に、ご飯、椎茸、高野豆腐、黒豆、かんぴょうなどの煮物、たくあんなどの漬物などの具を入れると完成である。
箸を使わず、茶碗の底をとんとんと叩き、片寄せた具をお茶とともに口に流し込んで食べる。
口に流し込むとき、一息でポンと放り込むように食べるのが通の食べ方と言われる。


とある(→リンク)。


「ちょっと一息」な物なのか

取材前にいろいろと調べたのだが、やはり読んでいるだけではどんな物なのか想像ができない。
泡立てたお茶の中に具を入れるというのが、僕の中の「食べ物・飲み物」の引き出しからはみ出しているのだ。


そもそも食べ物なのか飲み物なのか

具は少なめ

お店の方に「ぼてぼて茶をください」と頼んだところ、「はい!」と妙にうれしそうな返事をされた。
たぶん僕のような珍し物好きの観光客がたくさんやってきて注文するのだろう。
「はい」の返事に、そういう感じがみてとれた。


これがぼてぼて茶です

程なくして予想よりも派手に泡だったお茶と、品よく盛られた具がやってきた。
お茶漬けみたいにご飯たっぷりなのかと思ったが、五穀米はひとくち分ほどだ。
「初めてですか?」と聞かれたので正直にはいと答えたところ(こういう時になぜかつい見栄をはって「いいえ」と言ってしまう癖がある)、親切に食べ方の説明をしてくれた。


お茶が見えないほど泡立っている
具はどれもひとくちずつ

かなりむずかしいですよ

説明によると、まずは具をお茶に入れて楊枝でかき混ぜて、ほぐれたらあとは楊枝を使わずにお椀を動かしながら飲むのが作法らしい。
ちょうど缶のつぶつぶ入りジュースやコーンスープを飲む要領だろう。
「かなりむずかしいですけど挑戦してみてください」とお店の人は笑って言った。


混ぜました

思ったよりうまい

お茶にはほんの少し塩味がついているようで、椎茸やたくあんの風味と黒豆のほんのりとした甘さが混ざって、予想していたよりもずっとおいしい。
と書いてしまうとバレるが、実は味にあんまり期待していなかった。
取材前に調べたところではあまり「おいしい」という感想を目にしていなかった。
なので、「まあ話の種に」的な食べ物だと思っていたのだが、いい方向に裏切られた。

なんだおいしいじゃん、と教わったとおりに茶碗を動かしながら飲んだのだが、やはり具がお椀の底に残ってしまい、最後は楊枝を使って食べた。


かなりがんばったが底に残ってしまった


ご飯に汁をかけよう

うずめ飯は今すぐまた食べたいほどおいしかった。
僕はひつまぶしとか、奄美大島の鶏とか、汁をかけてご飯を食べるのが好きなようだ。
汁かけご飯は場合によって「行儀が悪い」とされる。
うずめ飯はさらにおかずを隠すという、これも一般的には行儀が悪いともとれる習わしの郷土料理で、それが江戸時代から続いているのはやはりおいしいからなのだろう。
きっと「ダメ」っていわれる理由ははおいしいからなのではないか、と思う。

もうひとつの名物どじょう掬いまんじゅうがかわいい

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