−−すみません、このへんを取材してるんですが……こちらのお店はいつごろから営業されてるんでしょう?
「えーと、戦前からだけど」
−−このへんに貯木場が結構あったと思うんですが、覚えておいでですか?
「貯木場? あったねー(地図をみて)そうだねー、この貯木場はこの製材屋さんの貯木場だし、こっちの貯木場はこの店の貯木場だったような気がするな……」
さすが、地元の人だ。住宅地図をみると次々と記憶が蘇ってくるらしい。
−−貯木場の思い出とかありますか?
「思い出ねぇ、子供の頃はよく遊んでたよ、魚釣ったり、木に乗ったりして」
なんと牧歌的な風景だろう。しかし、そうとばかりも言ってられない。
−−木に乗ったんですか?
「今考えたら危ないけどね、子供は乗っちゃうから。浮いてる木の上を歩いたりするんだけど、中には足を乗っけるとなぜかズボって沈む木があったりしてね、 落ちて死んじゃった子もいたらしいよ」
風雲たけし城の竜神池を思い出した。たしかにあんなの小学生がやったら危ない。
−−死んだ子もですか……命がけですね
「工場に勝手に入ったり、製材所に積んである木材によじ登ったり、とにかく今考えると本当に危ないよね」 |