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ロマンの木曜日
 
日本最長の路線バス「新宮特急」に乗ってきた

新宮特急で途中下車するなら、断然復路

さて、新宮発の復路だが、その始発は早朝の5時53分。八木発の始発は9時15分なのに対し、かなり早い時間である。

ここまで早いと起きるのにえいやと気合が必要ではあるが、朝早いのには朝早いで、非常に大きなメリットがあった。結論から言うと、新宮特急を使って途中下車の旅をやるなら、新宮発の復路が断然良い、ということ。


まだ薄暗い中、新宮特急が到着
早い時間という事もあってか、乗客は私一人

7時くらいに、熊野本宮大社に着いた

途中下車をしようと決めていたこの復路、最初の下車地である本宮大社には7時少し過ぎに到着した。

出発時はまだ辺りが薄暗かったものの、一時間ほどかけてバスが進むにつれて日は上がり、本宮に着いた頃には既に周囲は明るく、そして空気が新鮮で爽やかだった。

熊野本宮大社は熊野三山の中心であり、また2004年には世界遺産になった事もあり、山の中にあるにも関わらず参拝客は相当多い。特に休日ともなると、とんでもない人数の参拝客が訪れるそうだ。そしてこの日は日曜だ。

しかし、そんな日曜でも、朝7時の境内にはほとんど人がおらず、神社の方々が掃除していたりするくらいで静かなものである。ゆっくりのんびり、参拝させていただく事ができた。


人少なく、厳かな雰囲気の本宮大社境内
こちらは本宮大社の旧境内地である大斎原(おおゆのはら)

8時半くらいにお参りを終え、静謐なる境内から一歩外に出てみると、ちょうど観光バスがうなりを上げて駐車場に入り、わらわらとツアーの参拝客が降りてくる所であった。

私はその方々と入れ違いに本宮大社を後にし、まだ時間が少々余っていたもので、本宮大社の旧境内地である大斎原にも足を伸ばしてみた。こちらはまだひとけが無く、厳かな雰囲気で大変よろしかった。

そう、復路新宮特急のメリットは、人の少ない7時に本宮大社に着く事なのだ。神社の雰囲気を十分に味わいたいのであれば、早朝に訪れるべし。これ、テストに出るよ。



9時少し過ぎ、本日二本目の新宮特急が来た
今度は私以外にも、ハイカー風の方々が乗車していた

新宮特急は、八木発も新宮発も二時間おきに出ている。途中に下車して観光し、次のバスに乗り継ぐにちょうど良い時間設定なのだ。私は大斎原バス停から二本目のバスに乗り、次なる下車地である十津川温泉を目指した。

なお、今度のバスには私以外にも、地元のおばぁちゃんと、ハイカーらしき中年の男性二人が乗っていた。バスの場合、乗客が私だけというのも、何かと気まずいものだ。このくらいの乗車率がちょうど良い。

そうして、10時少し前に十津川温泉に到着。ここでは、バス停前の公衆浴場で温泉を堪能させていただきたい。


バスの到着が10時前、そしてこの公衆浴場のオープンは10時

つまり、一番風呂が楽しめるってワケだ
オープンまでは飲泉でもして時間を潰そう

営業開始直後の公衆浴場は、人が全くいなかった。源泉賭け流しの温泉を独り占め。いやはや、最高だ。

本宮大社といい、十津川温泉といい、新宮発の新宮特急は、まっこと素晴らしい時間設定である。早起きは二文の得とは言ったものだ。

なお、八木からの往路で同じように途中下車すると、十津川温泉に着くのは13時半、本宮大社は17時。新宮大社で途中下車するなら、復路の方が良いですぜ。


12時頃、三本目の新宮特急に乗車
後は景色を眺め、うとうとしつつ、16時半に八木駅へ着いた

割と飽きない、長距離路線バスの旅

今回、片道6時間半、往復13時間の新宮特急に乗ってみて、それほど退屈でもなく、帰ってきてからも疲れを感じなかったのが意外だった。

景色の移り変わりは楽しいし、休憩箇所も多く設定されているし、また途中には下車したくなるような所も数多く、バスの移動自体を楽しめたのが、乗り続ける事が辛いと思わなかったその理由かな、と思う。

あるいは、これまでに往復50時間の船旅とかやったり(→参考記事)、以前インドネシアで30時間バスに乗り続けた経験もあったりするので、長時間移動に対して耐性があるだけかもしれないが。

いや、でも、本当に楽しい旅行でしたよ。乗り物好きな方は、ぜひ。

十津川や熊野三山を同時に楽しみたい、または、ただひたすらバスに乗りたいという方には、最高の路線です

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