歩いてトンネルを抜けたい
東京で、そこそこ長いトンネルを歩いて通り抜けたい。
という願いを叶えられる場所を1ヶ所見つけて、レインボーブリッジを渡ったあと東京モノレールに乗った。向かった先はオープンしてそれほど時間の経っていない羽田空港国際線ビル駅だ。
せっかく空の玄関口に来たけどここから飛行機には乗らず、国際線ターミナルを出て国内線ターミナルに向かう。
歩いて。
ところで東京モノレールは、この新しい国際線ターミナルに駅を造るため、数百メートルに渡って従来の線路をつけかえたらしく、目の前の道路沿いに古い橋脚が建っていた。きっと、もう少し前ならもっとズラリと並んでいたと思うけど、もう3本くらいしか残っていなかった。
そこからしばらくの間、空港の敷地と海に挟まれた道路を、モノレールと並走しながら進む。車とモノレールは通るけど歩きや自転車の人はぜんぜんいない。
しばらく歩くと、隣を走っていたモノレールが地下に潜っていった。いま歩いている道も、緩やかにカーブしながら徐々に地中に降りていく。
とその先に、暗いトンネルがぽっかり口を開けていた。国内線ターミナルに向かう道が滑走路の下をくぐる、羽田空港トンネルだ。
一歩一歩進むごとに未来的なデザインの巨大なトンネルのポータルが近づいてくると、会員一同にちょっとした緊張が走った。
空港だからか、滑走路の下をくぐるトンネルだからか、ものすごくデザイン性あふれるトンネル。細くなりながらも今まで通って来た歩道が中に続いているので、やや緊張しながら歩いて入っていった。
トンネルの中はそれほど暗くなく、車が通過するときの大音響で驚くくらい。でも特に見どころはないし、排気ガスも臭うのでやっぱり長居はしたくない。早く出ようと思ったら、とつぜん自転車に乗った人が走ってきて死ぬほどびっくりした。
空港で働く人の中には自転車通勤もいるんだ。
トンネルを出ると、意外にもそこはオフィス街。航空関連の会社が入っているようだ。しかし先の方に見えるフェンスの向こうには広大な敷地があって、旅客機も停まっていた。おおお、空港だ!
どうやらここはモノレールの新整備場駅前らしい。ここで終わりでもいいけど、せっかくなので旅客ターミナルまで歩いて行くことにした。
そういえば空港に来るときはいつも電車かモノレールかバスといった交通機関なので、歩いて来られるのかどうかなんて考えたこともなかった。一日中、橋やトンネルを歩いてきた友の会会員も感激の様子。
結論としては歩いて来られるけど、疲れるだけで特に何のメリットものないので、普通に電車やバスやモノレールで来たらいいと思う。その方がテンションも上がるしね。
でも橋やトンネルを歩いて観察するのはとても楽しかったので、いつかふたたび友の会で観てまわりたいと思う。
友の会とはいえ
普段何気なく通っている橋やトンネル。あらためてゆっくり見回すと、ただ通過してしまっているだけでは気づかない、いろいろなおもしろいものがあった。こうして、街の中のものひとつひとつをよく知っていけば、今まで以上にその街で過ごすことが楽しくなるんじゃないかと思う。