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はっけんの水曜日
 
レトロで素敵な全手動プラネタリウム

プラネタリウムってこんなんでしたね

さて、いよいよプラネタリウムの上映が開始! しかし……。


やっぱデジカメじゃあ写らないですね……

写真に収めるのはちょっと難しかったので(上映の邪魔になっちゃうし)文章で説明しましょう。

まず、やはり最近のものと比べると星の数や細かさは劣っているし、映り自体もぼんやりとしている印象です。しかも星の色も単色。(最近は星によって光の色を変えているものが多いのです)

それでも真っ暗な館内で星がピカーッと輝き出すと、子供たちからは「うわー、キレー!」などと歓声が。

最新とか旧式とか関係なく、やっぱり暗闇で星がペカペカ光ってたらテンションあがりますよね!

上映の内容は星座の説明や惑星の紹介など、子供の頃に見たプラネタリウムのイメージそのまんまといった感じのもの。

あー、プラネタリウムってこんなでしたよ、懐かしいわー。


乙女座の由来を説明するスライド。乙女が冥界の王・プルトーンにさらわれているところ

プルトーンって、なにかと話題の「プルトニウム」の語源になったくらい怖ろしげな王様なのに、絵ではものすごくかわいかったです

それにしてもビックリしたのは、上映中もやはり杉本さんが肉声で説明をしていたということです。

途中、物語のスライドを上映した時にはテープを流していたものの、それ以外はずーっとしゃべりっぱなし! ちょっとした活弁状態ですよ。

 

やっぱり愛せる全手動

そして、上演が終わるとマニア風のお客さんたちが数人、だーっとプラネタリウムに近寄って、細かいところを鑑賞していました。

上映自体よりも機材の方に興味あるのかよ! ……という気もしなくもないですが、いやあ気持ち分かりますわー。

近くで見ると、このメカメカ感がより際だってカッコイイんですもの。

特にマニア注目の部分は、この銅でできた円盤部分なんだそうです。

ここに電気が流れて、回転するプラネタリウムに電気を送っているらしいんですが、この部分がむき出しになっている機種というのはすごく珍しいらしいんだとか。

裏から見ると配線がむき出しになってますね。この無骨さも愛せる!

そして、なによりも重要なポイントはこのプラネタリウムが完全に手動で動いているということ。

最近のプラネタリウムはコンピューター制御なので、ボタンひとつで上映がはじまり、ナレーションやらなんやらまで自動でやってくれるらしいんですが、ここのS-3型プラネタリウムは、この操作盤ですべてをコントロールしているのです。

つまみひとつひとつに「太陽」とか「恒星」とか書かれていて、コレをグイッとひねると星が明るくなったり暗くなったり、さらに、星が回転したりします。

さらに「朝やけ」「夕やけ」「青色光」「昼光」なんていうつまみも。

太陽が昇ると天井が青く光ったり、沈む時には地平線の辺りが赤くなったりする、アレをコントロールするのがこのつまみなんですね。

……そうか、そんなとこまで個別に操作しなきゃならないんだ。


このように色んなつまみをグイグイひねって操作します

「しゃべりながら太陽を動かして、さらに朝やけにしたり夕やけにしたりしなきゃならないから、時々忘れちゃうんですよ……。太陽が沈もうとしているのに空が青いままだったりね」(上映担当の杉本さん)

確かに、そんなに色んな事を同時進行でやってたらワケ分からなくなりそう……。

その代わり、全手動だけに同じ上映は二度と出来ないので「これはバッチリ」というタイミングで操作できた時はすごく気持ちいいんだとか。

 

手動だからこそのいいところ

「次回の上映に向けてセッティングを変えなきゃならないので」

ということで、取材はここで終了だったんですが、プラネタリウムのセッティング変えって興味あるじゃないですか。そこで、ムリをいってその作業も見せてもらうことに。

プラネタリウムって大体、上映した日の夜に見える星空を映すもんですが、全手動プラネタリウムでは上映会のたびに、これまた手動で星空の位置を変えなきゃならないのです。


このような目盛りを天井に映しながら、○月○日の夜○時の空……というように調整するそうです

そして、星空の位置が変わると当然、星座の位置も変わるわけで……つづいて星座の位置調整を行います。

この、あっちゃこっちゃを向いているライトのようなもので星座の絵を投影しています。これをどうやって位置調整するのかというと……。


手でグイッと方向を変えるんですね。ものすごくアナログな作業!

星座の投影機をグイグイ動かしながら「この辺でいいかしらー?」などと調整していくんですが、そのたびに星座たちがあっちいったりこっちいったり、高速で移動しているのがなんともへんてこな光景で面白かったです。

さらに日時が変わると、星座の位置が変わるだけではなく、見える星座自体も変わってきますよね。

そこで、映し出される星座も取り替える必要があるのですが。

そこで登場するのがこの「星座絵リスト」。

こんな感じで、黒い円盤の真ん中にそれぞれの星座の絵が、透明に描かれています。

この円盤を入れ替えて先ほどの投影機の先っぽに取り付けると、新しい星座を映せるって寸法ですな。


毎回、映す星座が変わるため、投影機のスイッチにはこのようにふせんが貼られていました。

こちらは使っていないふせん。星座ってこんなにいっぱいあるんですねー

「コンピューター制御のプラネタリウムと違って、しゃべる内容や紹介する星座なども毎回自分で決められるので(たとえばお客さんの年齢層に合わせたり)、大変ですけど、やりがいはすごくありますよ!」

確かにハイテクなプラネタリウムでも、その辺はマネできないですよね。


毎回、自分で書いた台本をこんな感じで読みながら上演しているそうです。すごい!

おエライさんにも色々いるもんだ

ものすごく緻密でリアルな星空を見られるプラネタリウムも確かに魅力ですけど、毎回違う内容を肉声で解説してくれる全手動のプラネタリウムもいいですよね。

ボク個人的には、お客さんが地元の子供たちやお年寄り中心で、カップルが全然いなかったというのも嬉しいポイントですけど。プラネタリウムでデートするんじゃねー!(心の叫び)


●荒川区 プラネタリウム館
東京都荒川区荒川4-19-1
上映は毎月第二土曜日、第四土曜日
【電話】03-5811-5510


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