なかには「なぜこんなところでこんな本を?」というものも多い。仏教書などの専門店でなぜか1冊だけ「人はなぜ匂いにこだわるか」なんて、今のぼくのためにあるような本が紛れ込んでいたりした。人はなぜ匂いにこだわるのか。気になるので最後のほうの結論だけ見ようと思ってペラペラとめくってみたけれど、この本は匂いに関する雑学集で、なぜ匂いにこだわるかということには特に具体的に答えている感じではなかった。
あれ、何しに来たんだっけ?
そうだ、ぼくは神保町の古書の匂いを探しに来たんだった……。すっかり古書に夢中になってしまって忘れていた。 実は、地下鉄の神保町駅のA6出口を出て地上に出た瞬間。ふわっと古書の匂いがするのだ。 |