朝起きたら昨日と違う世界になっていないかと期待する。 たとえば僕がすごいお金持ちになっているとかだ。朝布団の上で目を開けると、僕はベッドに寝ているのだ。しかも、ベッドの周りには蚊でもよけるのか、蚊帳みたいなものが吊ってある。そう書くと貧乏くさいが、蚊帳ではなくて海外のお金持ちが寝ているベッドに吊ってあるレースのアレだ。とにかく優雅で豪華なやつだ。
あるいは綺麗な奥さんが朝食を作っていてもいい。 目を覚ますと包丁で何かを切っているリズムのよい音がする。僕が台所に行くと、彼女は「おはよう」と僕に抱きつき軽くキスをするのだ。そして、僕はパソコンを立ち上げビジネスのメールのチャックをする。とにかく僕は、そんな朝が来ていないかと期待するのだ。
もちろんそんな世界を想像するだけではダメだ。 行動を起こさなければそんな世界はいつまで経ってもやっては来ない。そんな世界を僕は夢物語で終わらせたくないのだ。そんな世界で僕は生きて行きたいのだ。だから、僕はそんな世界に近づくために行動を起こしている。
寝る前にでんぐり返しをするのだ。 布団を敷いて、中に入る前にでんぐり返しをする。グルンっと前に回るその動きで世界がなんだか変わる気がするのだ。手を叩くとか、ジャンプするとかと比べると、でんぐり返しの方が、断然世界が変わりそうな気がする。あくまで僕の感覚的なものだが、逆に何もしないよりはいい気がする。調子がいい時は2回くらいでんぐり返しをする。
だが、今のところ世界は変わっていない。 あさ目を覚ましてもやっぱり豪華なベッドではなく、せんべい布団の中にいる。包丁で何かを切っているリズムのよい音もしない。メールをチャックすると人妻からのメール(迷惑メール)で溢れている。
何も変わってはいないのだ。 このままじゃダメだと切に思う。今日からは3回くらいでんぐり返しをしてから眠ろうと決意した。大体1回しかでんぐり返しをしていないのが原因だと思うのだ。頑張ろうと思う。
しかし、「キムチ風おにぎり」に出会えたのはでんぐり返しのおかげかもしれない。 黒胡麻油が香るご飯に、ハム、沢庵、人参、小松菜ナムルが混ざり、食べるごとに美味しさの発見があるおにぎりになっている。これを食べることができて嬉しく思う。日々のでんぐり返しのおかげかもしれない。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2011/01/19 21:00:00 )
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