■取材後記

サイバラ先生が「コドモなんか大嫌いだ」と描いてた時期から、子育てマンガを描いている、現在まで。
ずっとファンでした。「闘い、表現する、最前線の女性」である先生は、憧れであり、神様に近い存在でした。
でも実際の先生は、イベントをやったら編集者が２ダースも来てしまうような大作家でありながら、楽屋裏でも観客にも、いちばんこまやかに気を遣っていて。冷静で。
ちゃんとした、女性でした。
神様というより、女性でした。
……客席を見ていて、漠然と、20代後半から30代の、独身女性が多い気がしていました。それは、自分もそうだから、なんとなく「匂い」を感じとっただけで、本当は違うのかもしれないのですが。
結婚出来ず子供も生めず、仕事も何もなしとげられず、このまま先に進む不安。たとえ結婚できて子供出来ても、たぶん埋められない不安。どの女性を見本にしていいのか、分からないままの私たち。
その中で、サイバラ作品は、唯一の光だったので……私は、どーん、と、支えてもらっていました。
でもサイバラさんは神様じゃなく、人間の女性だったわけで。
全体重で寄りかかるのはやめて、自分もちゃんと闘わなくちゃ全然駄目だ、ああ駄目だ、と思い直しました。
好きな作家さんに直に逢うのって、複雑です。遠いままの存在だったら、無責任に「好きー！　最高ー！」って大声で言えるのに。近づくほど、感情は変わっていく気がします。今回、スタッフでも観客でもなく、不思議な位置から西原先生を見る機会を得て……自分の「サイバラ観」は変わってしまったけれど、前よりきちんとファンになれた気はしました。
貴方も「好きなクリエイター」と直に逢える時、なにか思うところがあるかもしれません。……カルカルはそんな企画が目白押し。機会があれば、是非ご来場くださいませ！

楽屋の鏡を使って、イタズラで撮った、先生と筆者のツーショット。たんなる盗撮かもしれない。

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りんかい線なら新宿から23分、渋谷から17分。意外と近い「カルカル」、気軽に行くべし！

>>：デイリポータルＺ
筆者も連載中の、毎日更新、読み物サイト。いろんなライターが、「納豆を一万回混ぜ」たり、「工場を鑑賞」したり、「ウインナーを毎日食べ」たり「キノコを育て」たりと、ふしぎな自由研究を発表し続けています。よかったら見てね！