今年もお花見に誘われなかった……。 東京で桜が満開だった4月6日の日曜日、私はひとりで仕事をしていた。少し期待したが、誰からも電話はなかった。 「なんか花見に誘いたいようなタイプじゃないもんな、アタシ……喋るの下手だし、華やかさはないし……そもそも友だち少ないし……っていうか、そんなに世の中の人は花見をやってるのか? ああ、とにかく桜見たかったよ……シクシクシク」 いじけているあいだも春はやってくる。 桜は散り、他の花がパカパカ咲き出した。道ばたの雑草もけなげに咲いている。 私は道ばたで「おおおおおお」と呻きながらしゃがむ。 「もっと花が見たい。そうだ、草がいっぱい生えてるとこ行こう!」 というわけで、お台場に行ってまいりました。もちろんひとりで。えへへ。 (text by 大塚幸代)
雑草的視点
お台場、東京テレポート駅で降りて、フジテレビの裏を歩いた。 さっそく足下に雑草を見つける。アスファルトの歩道に、白い花が咲いている。小さいながらも満開だ。
雑草の鑑賞のポイントは「近寄って見る」ことだ。小さいので見落としがちだが、やたら完成度の高い、緻密なデザインだったりする。「大きいサイズだったなら、売り物の花にだって負けないですぜ! 雑草のお嬢ちゃん!」と声をかけてあげたいくらいだ。
でも雑草は、「ほっといてちょうだい」とも何とも言わない。