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特集


フェティッシュの日曜日
 
共同溝から愛をこめて

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関係した人がパネルで紹介されていた

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ものすごい厚さの計画書

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実際に土を掘ったカッター。タングステン、クロムなどの合金。重い。

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丁寧に熱心に説明してくれる。

1センチしかずれないぜ

地下10メートルの作業ヤードにもどってきた。

そういえば僕と住さんは8月にただ穴を掘るという特集を作った。あのときは土が急に硬くなって嫌になってしまったのだ。そのあたりどうなんだろう。また係りの人に聞いてみる。

・土って硬いところとか柔らかいところがあるじゃないですか、掘ってるうちに曲がったりしないんですか。

→ 掘りすすめる機械(シールドマシン)に圧力計がついていて、硬いところは強く掘ってまっすぐになるようにしている。1.5キロ掘って5センチの誤差に収まる。

5センチっすか?

→今回は1センチでいけると思う(ほこらしげ)

僕が地上を1.5キロ歩いていても、たぶん5センチ以上ずれるだろう。

 

共同溝から愛をこめて

シールドマシンの先頭で実際に土を掘った金属(カッタービット)が展示されていた。それについて聞くと、

「こっちのほうがわかりやすいから、こっちおいでよ、こっちこっち!」

熱心だ。この人に限らずどの説明員も丁寧に説明してくれる。みなこの現場で働いている人である。質問されると嬉しそうだ。

カッターには貫通記念という文字が刻印されていた。カッターはこうして記念品になることが多いそうだ。ホームランボールみたいなものなんだと思う。

カッターが記念品になるのは関係者ではない僕にはピンと来ないが、長年掘り続けてきた人にとってはじゅうぶん記念碑的なものなんだろう。

取材前、地底空間だから闇とか無意識にたとえて書こうかと考えていた。だけど、関係者のあつい気持ちの前では、そんな余計な意味づけが恥ずかしく思えてきた。

まつりだ。そうだ、これは共同溝まつりだよ。

 


地上にもどって

すっかり夜だ。
この下にあの空間があったなんて。

地上に戻るとすっかり日が暮れていた。地上にあるのは小さな入り口だけで、まさかこの下にあの広大な空間があるとは想像もできない。

「3年ぐらいたってたりして」

と住さんが言っていた。たしかになんだか夢のようだ。さっきまで働く人の熱い気持ちに感動していたのに、自分の感動の冷めるのの速さにびっくりだ。

たとえると、いい映画を観たみたいな余韻、に近いかもしれない。

共同溝工事の見学会はときどき開かれているようなのでこまめにネットで検索してください。

おもしろいよ。


 

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