海ぞいの、ながめのいい道を歩く。
この日、風が異常に強かった。
海のそばは普段から風が強いのだろうが、この日は特にとんでもない強風だった。まっすぐ歩けない場所もあった。まるで「台風中継」だ。
「小さいおばちゃんだったら、飛んでいっちゃうのでは?」と心配してしまった。
でも皆、わりに平気な顔をしていた。歩くペースも崩れない。
ゼイゼイとなりそうな急な坂道も、皆さん途中で休むこともなく、たんたんと登りきっていた。
「屋外なんだから天候にもいろいろあるわよねえ、まあ無料だし。こんなの日常茶飯事よねえ」
という感じだ。さすが慣れている人たちは違うのだった。
おばちゃんたちは、
「風、すごいわねえ!」「ねー、すごいわねえ!」と、きゃあきゃあ騒いで楽しんでいた。
そのノリは、女子高生そっくりだった。
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