スワンボートはとても安全です
「前に漕ぐと前進、逆に漕ぐとバック。進路はハンドル切れば曲がります。では、気をつけていってらっしゃい!」
係員さんの手慣れた指導であっという間に一人、海上へ。観念してぎこぎこ漕ぎ出す。ぎこぎこぎこぎこ。やはり重心がやや片側に偏る。そういえば私泳げないのですが、大丈夫なんでしょうか。
そんな心配は、しばらく漕いでいると全くの杞憂であることに気づいた。雨は降っているが風が弱いのもよかった。ぜんぜん揺れないのだ。
小学生のとき、教室で椅子の重心を後ろにかけすぎてよく真後ろに転倒した。年に3回はやった。6年間で18回転倒した計算だ。それにくらべればスワンボートの安定性はまるで心配するに足らない。
漕ぎ飽きると、池の真ん中でボートをとめた。池には私のスワンボート一台が浮かぶきりだ。落ち着くと、徐々に一つの海を手にした気分でうきうきしてきた。この海、取ったりー! 池だけど。
せっかくなので、一度岸辺に戻って係の方にカメラを渡し、その勇姿を撮影してもらうことにした。
「ばーっと池の真ん中ぐらいまで漕ぐので、手を振ったらシャッター切ってもらえますか」
記念撮影には慣れているそうで、係の方はバシバシ私のスワンの漕ぎっぷりを写真におさめてくれた。 |